逆立ち人間にささげる詩
僕は逆立ち人間
いつでも逆立ちをしているぞ
朝目覚めたら
まずは右手をベッドから出して床に降り立つぞ
お次は左手
ビシっと立ち上がり、足を空中に持ち上げるぞ
家の外に出るときは靴を両手に履くぞ
スタスタと華麗に歩く
公園まで行ったら僕はお友達とサッカーをする
もちろん逆立ちしたまま
僕は手でボールを打つぞ
生きていることに意味はないぞ
逆立ち人間はマイノリティ
どこの店に行っても入店を断られるぞ
悲しいぞ
さかさまだから
涙はすぐに地面にしたたり落ちるぞ
逆立ち人間はものを食べるのも苦労するぞ
「ほらよ、食え」
と床に置かれた皿に向かって
口でじかに物を食べるぞ
バクバク
ムシャムシャ
いつの日か僕は
さかさまのまま飛翔するぞ
背中に羽が生えて
バッサバサと羽ばたいて天空にまいあがる
気分がいいな
僕は自由
鳥かごから放たれた鳥
やったぜ
でも目が覚めたらまたベッドの中
まずは右手をベッドから出して床に降り立つぞ
お次は左手
ビシっと立ち上がり、足を空中に持ち上げるぞ