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Pure Japanese感想1

2022年1月28日鑑賞
(新宿バルク9  19:20回、21:20回)

この記事は #ネタバレ を含みますので、まだ映画を見ていない方、ネタバレを見たくない方は回れ右!

Deanさんの企画・プロデュース映画ということで初日に観なくてはならないと思い観てきました。

公式サイトの情報や、インタビューをなんとなく確認する程度で、ほとんど予備知識はない状態で鑑賞。

1回目鑑賞してすぐの感想は

というものでした。
そのまま2回目を鑑賞

ここから本格的にネタバレ込みの個人的考察です。






この映画、善悪で見るとわたしの基準としては立石が悪いに落ち着くのだけれど、なぜそう見えるのかについての書きたいと思う。

立石の嘘。
映画を見ていると、どう見ても立石がおじいさんを殺す原因を作ったにも関わらず、病院のICU前でアユミに対して、
黒崎側の人間が立ち退きをさせたいがためにおじいさんに毒を盛ったと話したり、
黒崎の事務所を破壊し、警察に事情聴取された際に、正当防衛であり、殺されそうになったからだと言ったり、
アメリカで参加した撮影で、自分が殺してしまった事故にも関わらず自分は誰も殺していないとさも当然のように話したり…

何でこんなことを言ったのか?
そもそも立石は嘘と認識していたのか?

立石は、アユミが江戸村から帰る橋の上で励ましを受けた時に
「僕的には線を越えない方が難しい」という旨の発言もしていました。
となると、嘘をついていることは知っているのか?

公式では立石には虚言癖があるとなっていたけれど。
立石自身からみたらそれは虚言癖ではなくて
嘘というよりも、自分が信じたいものを信じているんだと思う。
PJキットの純度100%ということに喜ぶシーンにも表れている。
立石の中には、理性的な立石と本能的な立石(ピュアな立石)がいて
突然強い光を浴びるとピュアな立石が出てきて、リミッターが外れるんじゃないかなと。
このピュアな立石は、善悪を考えたりしない本能的で、無邪気なんだと思う。自分がしたいからする。
おじいちゃんの件も、ヘッドライトを突然浴びたことで殺したくなった。理由はわからないけれど、単になかなかバイクに乗ってくれないことに苛立ってとかかもしれない。だから、おじいちゃんが乗るまえに走り出した。走り出して、ライトが消えて理性的な立石に戻る。
理性的な立石からしたら、突然おじいちゃんが倒れている。
なぜ?毒を盛られて倒れたに違いない!って思ったんだと思う。
毒の話はどこから?という気がするけれど、たぶん三島由紀夫の闘争の話をしているときに出てきたのかなって思う。
理性的な立石は頭の回転が早いんだと思うけど、頭の中で勝手に話が展開していて思い込みも激しい、それが側からみると虚言癖となるのかなと。

立石は普通に見ると、完全に狂っているけれど、立石からしたら何一つ狂ってはいなくて、むしろ周りの発言が嘘のように聞こえるからこそ
あんなに滔々と答えられるのではないかと思う。

立石の中にいる理性的な立石とピュアな立石は、ピュアの方が強くて
アユミに全員殺しちゃって!と言われて、普通の人なら、理性で考えて、警察に通報したりと少なくとも立ち向かうという手段に出る人は少ない。けれども、立石は殺すという許可が出たという認識によって、ピュア立石に暴れる理由を作ってしまった。だから、ラスト20分のシーンで、2人で隠れているときに、アユミが巻き込んで迷惑をかけて申し訳ないと言ったことに対して、お礼を返していたのだけれど、それは「(暴れる理由をくれて)ありがとう。」なんだと思う。


この話の面白いところは、立石が最後は死んでしまうということ。
本能に支配されて生きることは破滅に向かうということを暗示しているのかなって思う。


ラスト20分に始まる線香花火の話は、ちょうど戦闘ともリンクしていて。
線香花火は短い時間で、パッと盛り上がって最後は落ちて消える。
消える瞬間が一番輝くから、一度刺されて死んだと思ったシーンは線香花火がもう終わりかな?と思ってみたらバチってつくのに似ていて、でもそれは最後の灯火だから落ちて消える=死んでしまう。
手持ち部分が熱いとなったときには、もう全てが終わっているとき。


気が狂っているのは立石で
周りのヤクザや黒崎は自分たちの利権のために理性的に動いている。
いい人たちとはちっとも思わないけれど笑
アユミは高校生っていう理性が強いはずなんだけれど、全部を理性で制御できる完全ではない時期で
狂った立石と出会うことで、狂わされた女の子。
出会ってしまったのか、出会うべくして出会った必然なのか
この2人が出会わないと物語は始まらないわけだから、必然なのだけど。


この映画が伝えたかったことはなんだろう?って考えたときに
もちろん今の日本社会が緩やかに死んでいっている話(おじいちゃんと立石の喫煙所での話)もあるのだけれど
人の二面性だったり、信じたいものを信じること、破滅すること、なのかなって思う。


未だ咀嚼できない部分として、Deanさんがインタビューや、劇中にも出てきた
「日本語OSを話す日本語びとはどこへ向かっているのか」
単一民族だからこそ排他的になっている、それはそうなのだけれど
いろんな人がいることをなぜ受け入れられないのか?という問いかけなんだとは思う。けれど、関西人、関東人みたいな感じで日本人といいながら分けていたりもするからなぁと思ったり。
これに関連して、最後のアユミのような女の子が神社の道を歩いているシーンがあるのだけれど

生きている説と、死んでいる説が考えられて
生きている説の場合、アユミは立石が謳っていた
Row, row, row your boat,
Gently down the stream.
Merrily, merrily, merrily, merrily,
Life is but a dream.
の鼻歌を歌っているけれど、あれは立石の狂気性がアユミに言語OSを通じて移ったと考えることもできるよねという話をファンの方として
でも、1回しか聞いていない曲を覚えられるのだろうか?
そして鼻歌で英語の歌詞だから日本語OSではないのでは?と思ったりしたときに
映画が始まってすぐの
“If we spoke a different language, we would perceive a somewhat different world.” ‒ Ludwig Wittgenstein
「もし私たちが異なる言語を話すなら、世界も違ってみえるだろう」
というのを思い出して(たぶんこれだったはず)
言語OSと考えれば鼻歌も可ではという結論になりました笑

死んでいる説
生きている説でも書いた、覚えられるの?というところから、
立石が見た最後の夢なのではないかと思っている。
鼻歌の最後って、Life is but a dreamだから人生はただの夢っていうところから、立石がアユミは生きていると思いたくて見た視点かなと思ったり。

もう一度みたらまた感想が変わってくると思うので
一旦初日の考察はここまでにしたいと思います。

個人的に好きなシーン
・エア切腹後のスッキリとした顔
・黒崎の事務所破壊する時の狂気を宿した目

このツイートでも書いたけれど、観て、それからどう受け止めたのかを考えたりするところから始まる映画なのかなと思ってるので
みなさんの感想も教えてもらえたら嬉しいです。
TwitterのDMでも、ここのコメントでも!

Deanさんにこの映画について1時間くらい話を聞きたい。
インタビューだけじゃ消化不良になってしまうよー
どこかでネタバレありの、みんなから質問ありの機会があるといいな。





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