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楽しかったInter BEE 2023会場めぐり(プロオーディオ系を中心に)

昨年に引き続き、Inter BEE会場に足を運ぶことができました。私は中日(なかび)の11/16に参加したのですが、午前中は同業の方々とプロオーディオのブースを中心に回り、午後はぶらりと映像系の散策をしてきました。

メモってたことを中心に書き出して、記録として残しておきますね。どこにカメラを向けても人が写ってしまうので、映り込みはどうかご容赦ください。

開場直後の様子。昨年よりは人が多かった印象。

サウンド・シティをバーチャル体験

レコーディングスタジオの中でも、とりわけ積極的にイマーシブ対応しているサウンド・シティのブースではなんと、イマーシブ・オーディオに特化したスタジオ「tutumu」の空間をアバターになってバーチャル体験できるという展示が!

一体それが何なのかということを理解するのに時間を要したが、スタッフの方に案内されて、ゴーグルとヘッドフォンを装着すると、眼の前にスタジオtutumuが出現!

その風景をお見せできないのが残念だが、スタジオ内を歩き回ると、どのスピーカーからどんな音が鳴っているのか、確認することができた。すごい時代だ。

DAD AX Centerの実機

Digital Audio Denmark社の最新オーディオインターフェイス「AX CENTER」が展示されていた。

中央の金色のがAX CENTER。前面にマイク入力が。USB Type-C(Thunderbolt)で256chやりとり可能。アナログ回路はすべてバランスで結線されていて、音質が良いと説明あり。クラシック録音の権威トーンマイスターも使っていると。

Avid Pro Toolsの新機能「Sketch」

Pro Toolsに音楽制作ワークフローに対応した作曲機能「Sketchウィンドウ」が新たに搭載された。音素材を取り込んで、勝手にテンポとか合わせてくれて、それをペタペタ貼って曲作りするような、スケッチ(コラージュ)的な音楽制作が可能に。

そういうソフトは他に存在するが、作曲ツールの拡充がPro Toolsユーザー増加につながるのかどうか。

あと、Pro Toolsのファイル・メニュー「コピーを保存」に、選択した範囲だけ、選ばれたトラックだけをSession copy inできる機能が搭載された。

これは「君はこの部分をミックスして」「あなたがこのトラックを完成させて」などと、複数人で作業分担するのに便利だ。

KONOSのショットガンマイク

Konos(コノス)というメーカーのショットガンマイク。マイクの後ろに挿すのは、マイクケーブルではなくイーサネットケーブルだ。

イーサネットケーブルをプロセッサーボックスに接続して電源を供給する。KONOSにはプロセッサー用のチップが載っており、リアルタイムノイズフィルタリングにより、厳しい音響条件下でもクリアなサウンドを捕らえることが可能とのこと。

指向性を切り替えたり、ターゲットの音と環境音(アンビエンス)を分離して出力することもできる。

サイズが変わってもイメージが変わらないPMCのモニタースピーカー

今年も聞けたPMCのモニタースピーカー。PMC6、PMC6-2、PMC8-2が並べて展示されていた。

グラミー賞受賞歴を持つエンジニア David Rideauさんが自ら録音したミックス前の音源を再生して聞かせていただけるという贅沢な時間。

一番外側(大きいの)がスリーウェイのPMC8-2。真ん中がPMC6-2。内側がPMC6。曲中でスピーカーをそれぞれ切り替えて聞かせてくれたが、もちろんスピーカーの大きさに比例して音の質量は変わるが、コアな部分のサウンドイメージが統一されていて、スピーカーを切り替えても違和感が全くない。

自宅サイズの部屋にPMC6を導入できたら素敵だろうな。

DiGiCoの新型コンソールQuantum8

DiGiCoのデジタル・ミキシング・コンソールQuantumシリーズ「Quantum852」と「Quantum338」が展示されていた。

Quantum8はDiGiCoの最新コンソールで、SRシーンだけではなくシアターにも対応。インプット348、192バス、マトリクス64x64。

バックパネルにパワーサプライが内蔵されているが、ヒートシンク仕様になっていてファンレスで騒音なし。MADI、Danteに加えて、AVBカードも発売されるとのこと。

インプットだけに8ポイントのEQ、マスター系のFXの充実、センドの1個1個の送り込みにEQをかけられるなどの特徴あり。画面も大きくなり使いやすくなった。

Quantum338も展示

市場ニーズを反映したSHUREのマイク群

ネット時代に対応したSHUREのマイクMOTIVデジタルマイクロホン。USB接続で、今どきのPCやスマホなどと組み合わせて使用でき、従来のような音響の専門知識がなくても使える。

Youtuberやポッドキャスター、ストリーマーなどに絶大な人気を誇るダイナミックマイク「SM7B」の後継機種「SM7DB」が展示されていた。

SM7Bはゲインが低く、感度を上げきれるプリアンプを持っていない初心者には使いにくい面があったが、SM7DBにはレコーディングに必要なゲインを提供するプリアンプを内蔵。マイクの元々の感度を上げることでそれらの問題を解消している。

その他、映画やテレビ番組など、ロケ先で音声収録するための機材をまとめたオーディオカートが展示されていた。

SHUREのワイヤレス製品を中心に組まれていたオーディオカートは大変使いやすそうだった。

また、SHUREに限らず、テレビ会議システム用のマイク類を展示している企業が多かった。天井に埋め込むタイプのシーリングマイクは、机の上にマイク類を置かなくても、話者にスポットを当てて喋り声を集音することができる。

音響拡散体 「オトノハ」のあり・なしを体験

日本環境アメニティの音響拡散体 「オトノハ」の体験ブースがあった。

オトノハは音響用の拡散パネルの一種だが、黄金比と黄金角をふんだんに利用して、立体を3次元的に螺旋状に配置することで、音をよりバラバラに反射できるのがこのパネルの特徴だ。

壁掛け型「Ivy wall 」と3Dプリンター製「Container garden」の2商品があり、3Dプリンター製の方は、音を真横にまで跳ね返すような独特の形状をしている。

ブースではスタッフの方が手伝ってくれてオトノハのあり・なしを体験することが可能。

イベント会場内という雑然とした空間においても、オトノハの効果を確かに感じることができた。

日本音響エンジニアリングの新型パワーアンプを体験

日本音響エンジニアリングが開発し、まもなく製品化されるという新型パワーアンプを試聴体験することができた。

ブース内には日本音響エンジニアリングのルームチューニング用品、柱状拡散体が多数設置されており、幕張メッセ開場の中にいて、この空間だけオーディオルームのような響きが出現していた。

スタッフの方が実際の調整用音源として使用しているという竹内まりや「告白」をプレイバックしてくれた。スピーカーがすばらしいのもあり、圧巻の音。

のちのち、会場内を闊歩するも、このブースから竹内まりや「告白」がよく聞こえてきた。

また、同社が開発している「メレオン」というカジュアルな音響調整家具も展示されていた。オフィスやラウンジなどの空間をおしゃれに彩り、かつ音響特性を整えてくれる。

大掛かりな工事をせずに設置できるのも便利そうだ。

インカムもIPの時代

インカムも時代はIPのようだ。ALTAiRのIPインカムなら数珠つなぎで拡張が楽。

ノイキャン付きのHOLLYLANDの新型インカムも注目を集めていた。

Austrian Audioのヘッドフォン、マイクが多数展示

今、音楽制作者の中でもかなり浸透してきていると思うAustrian Audioのマイクが多数展示されていた。フラッグシップのOC818を始め、ファンタム電源を供給して使用する「アクティブダイナミック」型のマイクのラインアップも増えて、一気に多彩なラインナップとなった。

面白い新製品として、USB接続で使用できるきせかえ式の楽しいマイク(レコーディングシステムというらしい)も展示されていた。手にとると金属製でずっしりと重く、想像以上に高級感があった。

Austrian Audioはヘッドフォンも人気だが、まだ発売前と思われる同社にとって初のヘッドホンアンプ「Full Score one」も展示されていた。

より身近にGenelecがある世界

スタジオ・モニターの世界的リーダー「Genelec」の製品は、なかなかプロにしか手が届かない価格帯ではあるが、展示ブースではより我々の身近な生活の中でGenelec製品が使えるような提案がなされていた。

照明型の吊り下げ式のスピーカーは、レストランやオフィスなどにも似合いそうだ。もちろん、他のGenelecスピーカーと同様にLANケーブル1本で接続できる。

Boseなどにある、天井・壁埋め込み型スピーカーのGenelec版。これで、壁埋め式のAtmos部屋を作れたら、めっちゃ楽しそう。

AvidのライブコンソールS6でAtmosミキシング

AvidのライブコンソールS6が展示されていた。もちろん、Dolby Atmos ワークフローに対応しているので、イマーシブオーディオ制作が可能となる。

オゾン発生機 JASSC J Air

変わり種の商品として、コンパクトでキューブ状のオゾン発生機 JASSC J Airが展示されていた。これひとつで20畳くらいの空間において除菌効果があるとのこと。

モーターやファン、フィルターは入ってない。

ホームスタジオユーザーにも嬉しいSHIZUKAパネル

音響空間用吸音パネル「SHIZUKA Stillness Panelの製品が多数展示されていた。室内で立体音響を聴ける吸音ブースもあり、4.1.4chの立体音響を体験することができた。

自立型のパネル類に加え、新商品の三角柱の形をしたベーストラップも現物が展示されていた。

自宅で音楽制作をするホームスタジオユーザーの味方になる、拡散や吸音ができるパネル類がたくさんあり興味深かった。

マイクのおばけ!?イマーシブオーディオマイクロホン BP3600

オーディオテクニカのブースで、設備系の機材が多く展示されている中、異彩を放っていたイマーシブオーディオマイク「BP3600」。注目度が高く、終始人だかりができていた。

BP3600は8個のカプセルを備えたアナログマイクで、製品自体は去年も展示されていたが、Flux:: Immersive社の立体音響編集ソフト「SPAT Revolution」に本機専用プリセットが追加されることとなり、使い勝手が大幅に向上した。

注目のNeumannのオーディオインターフェイス「MT 48」の実機

DTMer注目のNeumannのノイマンのオーディオインターフェイス「MT 48」の実機が展示されていた。小さな箱の中によくぞまあこれほどの高機能を詰め込んだなという、驚きのオーディオインターフェイス。

Neumannは1991年にSennheiserに買収されたが、スイスのマージング・テクノロジーズ社もSennheiserに買収されたため、マージング・テクノロジーズの技術がNeumannのオーディオインターフェスで活かされることになった。MT 48は30万円くらいとか。

同じくNeumannのモニタースピーカー、KHシリーズが展示されていた。DSPでルームアライメントができ、新しく7.1.4chまでのアライメントにも対応した。

SSLの新世代のアナログ・インライン・コンソール「Origin」

堂々とした佇まいのSOLID STATE LOGICの新型アナログコンソール「Origin」。オリジナルのダブルライン。あの色。SSLのスタンダードデザインがここにある。アンフィオンの新型スピーカーとともに展示。

かつての4000シリーズ、9000シリーズと違い、HAにバリエーションがあるのが特徴。そして、電源を内蔵しているのでマシン室は不要。750Wの省電力。

Prism Sound最高クラスオーディオインターフェイス Dream ADA-128

プロスタジオにイマーシブオーディオの制作が求められる昨今、やはり必要とされるのは「多チャンネル」。

音楽制作からポストプロダクション、ブロードキャストなどさまざまなワークフローに必要な機能を満載したPrism Soundのフラッグシップモデル。


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