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「りくペディア」 Sea

私の心の中を50音順でキーワードと共にひもといていく「りくペディア」。
見に来てくれた人が少しでも創造的になれますように。

第3回「う」:海

ある日、海沿いをサイクリングしていた。その日はとても天気が良く、風一つ感じなかった。内海ではあるものの、生まれて初めて"凪"を感じた。最も静かな海だった。
僕は今すぐに飛び込みたかったが、残念ながら大人だから、後々の事を考えて飛び込む事は出来なかった。

あの日の凪を忘れられず、日を改めて、今度は1人でその海に行った。
その日もよく晴れて風もなく、あの日の海を期待していた。
中学生が夏休みにプールへ行くようにズボンの下には水着を着て、この日を心待ちにしていたのだ。
片道1時間半近くかけ、ようやの海に辿り着いたのだが、海には波が立っていた。
条件はあの日と変わりはなかったのに。
ただ、目の前の海は次から次へと波が押し寄せてくる。

なぜ風はないのに波が立っているのか。
なぜあの日は波が立っていなかったのか。

その日から今でもずっと疑問に思っている。

答えは青くて大きくて深い、あの海のどこかにあるのかもしれない。
人間は日々忙しく生きているから、どこか海に憧れを抱いている。
穏やかで、時に波を立て、また穏やかに静まり返る。

もしかすると、僕らは答えを知らなくてもいいのかもしれない。

【りくペディア/海】

不思議なもの。海は海だけが知るもの。


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