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#38【穴がないところに穴を開けろ!】【23/24 セリエA第14節】ナポリ×インテル マッチレビュー

試合開始前

両チームスタメン

■インテル
・前節ユーベとの首位攻防戦を引き分けで終えたインテル。直後のCLベンフィカ戦ではターンオーバーをして臨んだが上手く機能せず。スタメンと控え組との実力差とスタメン組の高齢化によるコンディション面が当面の課題。ただ、メンツが揃えば流石に強い。
・この試合では調子を落としている前年王者との差を広げたい。

■ナポリ
・ルイスガルシア監督解任直後の前節マッツァーリ体制初戦は勝ち点3を獲得。
・左サイドバックのマリオルイとオリベイラの負傷離脱が痛い。今節は本職CBのナタンを起用。

ナポリの右サイドを攻略せよ!

左サイドからのスムーズなビルドアップ

①ゾマー+3CB+チャルハノールorバレッラ(たまにムヒタリアン)の布陣でビルドアップ。相手の前プレスは難なく突破。
②その先で待ち構えるムヒアリアンと両ウイングバックの持ち上がりよりミドルサードを突破。ファイナルサードへ侵入。ラウタロも降りてきてフォロー。
③最前線で待ち構えるテュラム。恵まれたフィジカルでボールキープ。後ろからの押し上げを待つ。豊富な運動量で真っ先に後ろから駆け上がるバレッラを筆頭にゴール前に雪崩れ込みゴールに迫る。
・基本的には①〜③を狙う。ダメなら潔く迷わず①からやり直し。
・質的優位と選手同士の相互理解により再現性がかなり高い。さすが得点数リーグ1位。
・ナポリの左サイドバックは本職CBのナタン。右サイドバックは攻撃参加の多いディロレンツォ。ミドルサード突破要員のムヒタリアンが左サイドを主戦場としていることもあり必然的にインテル左サイドからの攻撃が増える。
・左サイドからファイナルサードに侵入して真ん中のテュラム、ラウタロ、ドゥンフリースで仕留めに行く。ボールがこぼれてもバレッラが回収して二次攻撃に繋げる。
・先制点のチャルハノールのゴールもまさにその形。左サイドのクロスからのこぼれ球をバレッラが回収してからのスーパーミドル。偶然に見えて実は再現性の高い必然のゴール。

噛み合わないナポリのビルドアップ

真ん中を閉じられてサイドに誘導されるナポリ

・2CB+ロボツカの3枚の形か、ナタンが絞って3CBを形成してディロレンツォが前に出る右肩上がりの形でビルドアップ。
・インテルは数的同数を作りほぼマンツーマンの形で中央のルートを塞ぎサイドに誘導。
•クヴァラとポリターノにボールが入ってもアチェルビとダルミアンがしっかり距離を詰めてマーク。
・嫌がって下がって受けようとするが、低い位置でウイングがボールを受けてもチーム全体として前進できない。

5バック攻略の糸口

困った時のオシメン

•ビルドアップ自体は上手くいかないナポリだが、最大の強みである飛び道具オシメンを利用して前進を狙う。圧倒的なフィジカルを活かしたポストプレーによりビルドアップの出口に。雑なパスでも収めてくれるので前進できる。
・5バックの特徴は数的優位により迎撃守備が可能になること。1枚多い状態で構えた守備をする分、侵入してきた相手には飛び出してプレスにいく。
・ナポリは相手両サイドCB(アチェルビとダルミアン)を吊り出して、その裏のスペースに侵入して一気に攻め込みたい。
・左サイドの侵入隊員はエルマス。右サイドはディロレンツォ。ポリターノとクヴァラが上手くキープして相手を誘き寄せ、タイミングよく飛び出すエルマスとディロレンツォを使いペナルティエリアに侵入。
・ナポリはこれが一番再現性が高い形で得点の匂いがする形。
・何とか前線までボールを繋げれば破壊力の前線で得点を狙える。どれだけ前線にいいボールを配給できるかが鍵。
・オシメンがさすがのキープ力を発揮してチャンスは演出できていたが、インテルゴールを破るまでには至らず。
・本来であればナポリは両サイドでサイドバック+センターハーフ+ウイングの3枚でサイドの攻略を狙い続け、ダメなら素早いサイドチェンジを行い相手の陣形が整う前に攻め切りたい。
・この試合では左サイドバックが守備的なナタンだったことで攻撃の迫力を削ぐ形となってしまった。

穴がないところに穴を開ける

スーパーミドルを決めたチャルハノール!

・チャルハノールの先制点、バレッラの追加点、ともに均衡を破ったのは相手をねじ伏せる圧倒的な個人技術。
・インテルはチームとして左サイドで優位性を保っていたし、3点とも左サイドを起点に生まれている。
・戦術的な優勢な状況に個の力が乗ると勝利に近づける。
・選手の総合力が上がり苦手なプレーが少なくなっている現代フットボーラー。
・そんな現代型フットボーラーが22人集まり穴らしい穴がない試合を決定づけるのは、穴がないところに穴を空けられる個人の一瞬の閃きと、組織として穴が空きそうな部分を作り出せるかにかかってくる。
・クヴァラを完封したダルミアンも目立たないが穴を開けさせないという意味でもチームに絶大な貢献をしている
・今日のインテルは組織としても選手としても穴を開けることができた結果になったし、ナポリも穴を空けられる雰囲気はあったが、インテルが穴を開けさせなかったという展開であった。
・ただ世の中には戦術的な劣性やチームの流れなど全く関係なしの選手もいる。なんとも無情。

試合後の雑感

ホームで大敗を喫したナポリ

・インテルは再び首位浮上。このメンツで5バックを敷くのはもはやズルいとすら思えてきた。守るだけでなくしっかり攻め切れて得点数リーグ1位のメンツが揃っていればそりゃ強いわ。コンテ時代から続く5バックが完成の域に達しつつある。
・ナポリは優勝争いから脱落しかねない痛い敗戦。次節ユベントス戦。早くも正念場。

個人的MVP

ナポリを完封したディフェンスリーダーアチェルビ!(35)

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