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【第9回 聞いとKEY! / 宮本紫野編】流れのままに、町とか人とかアートとか。

第9回目を迎える「聞いとKEY!」の舞台は、徳島県最南端のまち海陽町。「ならばゲストはサーファーで、テーマは海?」と思った人もいるかもしれないが、今回のテーマは「ローカルとアート」だ。

ゲストは『タニのいえ』オーナー・ディレクターの宮本紫野さん。海陽町出身の宮本さんは高校卒業後に京都造形大学に進学。卒業して1年後に、地域とアートで何かできないかと考えていたところ神山町とご縁があり、2009年に神山上角商店街にて「うえつのワッショイ!!なにげない毎日にワクワク展」を開催する運びに。その後、徳島に拠点を移して、アートやライティングなどに携わってきた。現在は2児の母でもある。

宮本さんが運営するタニのいえは、カフェギャラリーとして不定期で企画展を実施している。この場所は、祖父母が暮らしていた築70年の古民家だそう。拠点を開きたかったのは、「小さくても、細く長くじわじわと地域に広がる場所が欲しかったから」だと言う。

「『私なんて、長生きしとるだけで何もないんじょ』っていうおばあちゃんとか、よく話を聞いたらめちゃくちゃ面白かったりするんですよ」

そう語る宮本さんの言葉からは、誰かの「ふつうの暮らし」の中にこそ、おもしろいものが眠っているんだという姿勢を感じ取ることができた。それをアートという“非日常”のまなざしを取り入れることで、その魅力を立ち上がらせることが、宮本さんの仕事なのかもしれない。

宮本さんがこの考え方に辿り着くまでには、どんな出会いや試行錯誤があったのだろうか。海風に吹かれながら海陽町へ向かった。

ラジオはこちら↓
【第9回 聞いとKEY! / 宮本紫野編】
流れのままに、町とか人とかアートとか。


〜ハイライト〜

1.「海といえばあれ(岩場)だったので、逆にほかの海って、あ、波ないみたいな(笑)」(0:02:46~)

2.「何がやりたいかも自分でもわからんのに、なんかやらしてくださいみたいな(笑)『いいよ〜』みたいな(笑)」(0:05:31~)
3.「作品をバンバンて展示するだけじゃなくて、地元のおばちゃんとかここの歴史とか、ここに生きてきた人らの物語みたいなのも展示するのが自分は興味があるのかなってここで初めて気付いたというか」(0:06:59~) 
4.「絶対徳島に戻りたい!みたいな感じはマジで全然なくて」(0:08:23~)
5.「自分がやるんやったら地域にちっちゃくても、細くずっと根差しとって、じわじわ地域に広がっていくみたいな、そういう場所がいいなと思っていて」(0:10:47~)
6.「こんなちっちゃいとこで、めちゃくちゃ遠いのに、わざわざ来てくれるんだと思って」(0:12:47~) 
7.「アートっていうもんなんかなんなのか、私もよく分かってなくて」(0:16:35~)
8.「ここ3年くらいで一気にまちが変わったというか」(0:19:38~)
9.「新しくそういう場所ができてくれたりとかしたら、またこの子たちの生活がまた新しくできていくんだろうなみたいな感じで」(0:25:48~)
10.「普通は歴史の中で絶対忘れ去られていくというか。何にも残らん人ではあるんやけど、別に残らんけど残っても、その人それぞれの人生で面白い部分があるというか」(0:35:49~)


今回の旅の記録



9:00 海陽町は徳島市内から2時間ほど。
おしゃべりしながらウキウキドライブ!
海だ〜!!と一同大喜び。
11:50 宮本さんとは、海陽町の人気喫茶店『珈琲 ひこうせん』で合流!
自己紹介タイム♫
ランチにはひこうせんの人気メニュー海の子ピラフ。ワカメが入った具沢山の一品。
ボリューム満点!
今回は神先さんファミリーも参戦!
子どもたちが遊んでいるのは徳島で生まれた
木のおもちゃ「てるぺん」
てるぺんに夢中になる大人げない人(笑)
13:00 ランチの後は、大里松原海岸へ。
ザザー!と波音が鳴り響く。
海岸の前に広がる松林。
お父さんモードの神先さん。
宮本さんのお子さんも合流して波打ち際で水遊び。
大人組はのんびり海を眺める。
15:00 その後、収録のためタニのいえへ移動。
収録は、タニのいえ奥の住居スペースにて!
宮本さんは、美波町にある福祉施設「柏寿会がんばれる作業所創作クラブ」にも携わり、クラブに所属する作家さんたちの作品展を実施している。タニのいえでは、作家さんたちのポストカードも販売中。これがめちゃくちゃ可愛い…!
17:00 帰り道は牟岐町〜美波町を結ぶ「南阿波サンラインへ」
南の海を満喫できるドライブコースだ。
何度も海を見て感動する、夏を感じる取材。
宮本さん、ありがとうございました!

収録を終えて / 宮本紫野さんより

流れのままに、町とか人とかアートとか。

ひこうせんでくつろいで、松原海岸で汗と海水まみれ、そしてタニのいえでおしゃべり…。
子どもの頃からの極々私的な日常を、遠い町に住むみなさんと一緒に過ごしたのがなんだか不思議楽しかったです。

実は数ヶ月前まで自分自身と家庭とのバランスに悩んでて。自分が空っぽになっていくような感覚になってたんです。
とあるきっかけで少し立ち直ってきたなーと思えてきた時に、ちょうどタイミング良く今回のお話をいただきました。
みなさんと色んなお話をすることで、また自分を取り戻せた気がします。ありがとうございました!


収録を終えて / 参加メンバーより

高橋利明

第9回の「聞いとKEY!」を終えて、、、
9回目となる「聞いとKEY!」、今回は徳島最南端の町、海陽町で暮らす宮本紫野さん。どうやら紫野さんとはメッセージを見返すと2015年に知り合ったようだ。そこからやりとりがなくてもなんとなく活動は認知していたのだからSNSとは不思議なものだ。
紫野さんは今、子育てをしながら地域に場所を開き、代謝する環境をつくっている。そこで暮らす人達の当たり前が誰かにとっての気付きになり、またその人たちの気付きは、そこで暮らす人達の当たり前に誇りを育むことができる循環。
目に届く活動領域が自分には合ってると紫野さんは言う。訪れた日は運営している「タニのいえ」は定休日だったけど、目に飛び込んできた光景は海岸で聞いた波の音と同じ感じがした。明日も無理せず、「普通」に生きていく。それもまた、誰かの気持ちに響くから。

神先岳史

今回の取材場所は海陽町で、まさに夏らしい天気で、おまけに家族連れで海でも遊べて楽しかったです。
しのさんとは2015年のムギテバアートの時に知り合い、過去に神山でもイベントをされていたので、いろいろと共通する人もいて、その後も仲良くさせてもらっていました。アートのアプローチも好きで、主役がそこに住んでいる人たちという感じで、そこの暮らしや歴史に寄り添っていくところがいいなと思っています。(個人的解釈)
町というものは、そこに住んでいる人たちの普段の暮らしや会話の集合体で、その中でポジティブな要素が過半数を越えてくると、自然と町は活気づいていくみたいなことを過去に話したような気がして、それは今、自分が町を感じたり考えたりする上でよく意識している視点です。
今回久々に話せて、また一緒にできそうなことがあったので、楽しみが増えました。
RJTも第9回目。noteもラジオも濃い内容が溜まってきました。振り返りと2年目のことも考えだす時期ですねー。

髙木晴香

大学でアートマネジメントを専攻していた私にとって、ローカルとアートはとても身近なテーマだった。でも、最近ではすっかり縁遠くなってしまっていた。というのも、Uターンしてからアートやそれに関わる現場になかなか出会えてなかったから。今回の取材で紫野さんの活動を知った時、希望の光に触れたような気がした。こんな素敵な場所があったとは!紫野さんの自然体な姿にも励まされた。普通の生活、普通の景色の中にこそ、おもしろいが溢れている。アートというフィルターを通すと、それがよりいっそう色濃くなる。明日から普通の景色をもっと目を凝らしてて見てみたくなった。そのまなざしこそが、この場所での暮らしを楽しむ一つのヒントだと思うから。

谷亜央唯

今回は初めての海陽町、収録場所は「タニのいえ」(親近感!)。太平洋に面している海陽町の海は学生時代を過ごした高知の海と同じ音と匂いがして、懐かしい気持ちになりました。紫野さんのお話を聞いていて、学生時代から今日まで(そしてこれからも)。地域の変化と自分の変化を受け入れながら、地域とアート、そして紫野さん自身の交差するところを探りながら前に進んでいる感じが印象的でした。訪れた海陽町や私自身の当たり前の日常の風景が愛おしく思える収録でした。

岑田安沙美

人生初の海陽町。キラキラした海にはしゃぐ子どもたちの声がとても心に残った1日でした。昔から精力的にアートイベントなどの活動に従事されている紫野さんですが、お話してみるとすごく自然体な感じがしてとても素敵だなと思いました。一度きりで終わってしまうアートイベントというより「地域にちっちゃくても、細くずっと根差しとって、じわじわ地域に広がっていくみたいな、そういう場所がいいな」とおっしゃっていたのも印象に残っています。


direction / 高橋利明

direction / 神先岳史

writing & editing / 髙木晴香

graphic / 岑田安沙美

photo / 谷亜央唯

齋藤 千夏

清水 杏咲

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