NFL反則解説シリーズ #16「イリーガルブラインドサイドブロック」
<注意>
①情報の正確性には細心の注意を払っているが、誤りを含む可能性がある。また、簡単のために一部省略していることがある。
②特に注意書きが無い場合はNFLルールの話である。
③記載内容は執筆時点で最新のルールに基づく。
④基本的な単語については解説を省略することがある。分からない単語があった場合、過去の記事「#0-3 反則に関する用語」「#0-2 罰則の運用」を参照していただくか、ネットで検索していただきたい
要約
イリーガルブラインドサイドブロック(Illegal Blindside Block: BLI)は相手を自分のエンドラインの方向へ強くブロックする反則。15ヤードの罰退。
【青がBLIする直前の写真】
定義
自陣エンドライン(攻めている方向と逆のエンドライン)に向かって、もしくはエンドラインに平行に動きながらヘルメット、腕、もしくは肩で相手を強くブロックする反則。
※スクリメージライン付近での行為("close-line play")には適用されない。この例外はボールが横はセットしている両タックルの外足、縦はスクリメージラインから前後3ヤードずつの区域から外に出るまで続くが、QBがポケット内に留まっているときや、速やかに他の選手にハンドオフした場合には区域内に留まっているとみなされる。ただし、プレーが崩れた場合(QBがスクランブルした時など)には再びこのルールが適用される。
なおこれらの要件に当てはまらなくても、死角からの激しい(特に意図的にヘルメットをぶつけるような)ブロックを行うとアンネセサリーラフネスをとられることがある。これはNCAAルールでも同じである。
【アンネセサリーラフネスとなった例】
罰則
15ヤードの罰退
補足
2019年のルール改正で現行の形になった比較的新しい反則である。2018年以前は「首より上への」強いブロックのみが対象であったが、その対象範囲を全てのブロックに拡大した形である。
要件は「方向」と「どこでブロックしたか」、そして「激しさ」だけなので、ブラインドサイド(=死角)であるかどうかは関係ない(ただこの要件が揃った時は死角からのブロックになっていることが多い)。
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この反則はほとんどがキャリアを後ろから追いかけている相手に対してブロックを行う時に発生する。キャリアを追いかけているディフェンダーは無防備であるため、強烈なヒットをくらうと脳震盪などの傷害が発生する可能性が高いため、それを保護するためのルールである。
【追いかけてくる相手に対するBLI】
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2020シーズン week 12 AZ@NEではこの反則が物議をかもした。専門家の間でも意見は割れたが、担当レフェリーの説明は「自陣エンドラインに向かった肩を使っての激しいブロックなので反則で間違いない」というものであった。
なお要件に「ヘルメット、腕、もしくは肩で」という文言があるように、手や体を使ってブロックするのは反則ではない。このプレーでも、手でブロックするか体を入れ続けるだけだったら反則にはならなかっただろう。
NCAAルール
「死角からのブロックを受けるプレーヤー」は無防備なプレーヤーの一例として挙げられており、首より上への強力な接触はターゲティングの反則となる。15ヤードの罰退で反則した選手は資格没収。こちらはNFLルールとは違い、ブロックの方向は全く関係ない。
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