NFL反則解説シリーズ #18 「イリーガルクラックバックブロック」
<注意>
①情報の正確性には細心の注意を払っているが、誤りを含む可能性がある。また、簡単のために一部省略していることがある。
②特に注意書きが無い場合はNFLルールの話である。
③記載内容は20/21シーズンのルールに基づく。
④基本的な単語については解説を省略することがある。分からない単語があった場合、過去の記事「#0-3 反則に関する用語」「#0-2 罰則の運用」を参照していただくか、ネットで検索していただきたい
要約
イリーガルクラックバックブロック(Illegal Crackback Block: ICB)は、オフェンス選手が「外から内へ」危険なブロックを行った時にとられる反則。15ヤードの罰退となる。
【ICBの例1】
定義
クラックバックブロックの要件はブロックの発生した場所、ブロック時の選手の方向、スナップ時の選手の位置、ブロックの方法が細かく定められている。それらに当てはまったクラックバックブロックは基本的に全て反則だが、プレーが崩れて明らかに本来のデザインと異なる方向へ展開されたときは反則とならない(リバースプレーなど意図した方向転換を行った場合は適用され続ける)。
<ブロックの位置>
スクリメージラインの前後5ヤード以内
<ブロックの方向>
ボールがスナップされた位置へ向かって動いている選手によるブロック(=外から内へ向かってのブロック)
<適用される選手の条件>
(a) スナップ時にオフェンスタックルより2ヤード以上外に位置していた選手
(b) スナップ時にバックフィールドに位置していたが、スナップ後にタックルより2ヤード以上外に移動した選手
(c) スナップ時にモーションしていたバックス
<ブロックの種類>
以下に示す危険なブロック
(a) 相手の腰より下へのブロック
(b) ヘルメット、フェイスマスク、前腕、肩による、相手の首より上への強力な接触を伴うブロック
(c) 自分の頭を下げて行うブロック
(d) 突撃するようなブロック (i) 接触する前に両足を離して、相手に向かって前上方向に飛び出すブロック、(ii) ヘルメットを用いた強力な接触を伴うブロック (ただしこれらは無防備でないランナーに対して行うのは問題ない)
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ルールブックには、「ブロックを行う者はこのような危険なブロックを避ける義務があり、相手ディフェンダーの体勢やブロックの受け方によってその責任が減免されるものではない」と明記されている。
【ICBの例2:①LOSから5ヤード以内の位置で②スナップ時のボールの方向へ③スナップ時にモーションしている#42が④腰より下へ ブロックしている】
罰則
15ヤードの罰退。
【ICBのシグナル】
補足
「内から外へ向かってくる」ディフェンダーに対するブロックで反則が取られているイメージがあるが、ディフェンダーの進行方向は関係ない。
【自分から離れていく相手に対するクラックバックブロック】
※上は明らかにボールがスナップされた位置を越えてからブロックしているように見えるので、これが本当に「スナップ時のボールの方向に向かって」に当たるのかどうかは分からない。スナップされたボールの位置の方向へ動いて行った選手が、スナップされたボールの位置を越えた場合の規定について(NFLルールでもNCAAルールでも)ご存じの方はご連絡いただきたい。
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「オフェンスタックルより2ヤード」というのは、基本的に「TEまではセーフ」にするための文言だと捉えていただければ問題ない。逆に言うと、ウィングバックの位置にセットした選手はこの反則の対象となる。逆サイドに展開するプレーで、内側のDLに対して思わずカットブロックしてしまった時にこの反則を取られることがある。
NCAAルール
腰より下へのブロック内に「スナップ時のボールの方向に対して行ってはならない」という規定はあるが、クラックバックブロックという用語は反則例の説明の一部に用いられているのみで、反則名としては存在しない。
なお上記の規定が適用されるのは①タックルボックス外に存在していた選手②タックルボックスの外に出た選手③スナップ時にモーションしていた選手であり、NFLルールとは違いラインマンであっても一度タックルボックス外に出ると制限の対象になるので注意が必要である。
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