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NFLジャッジリビュー Week 6

  Week 4とWeek 5はろくに試合を観られていなかったのでサボりましたすみません。

  今週も運用上興味深いプレーをいくつか紹介します。


1. 試合終了間際①

(MIAvsJAX 0:05)

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  JAXが残り5秒の 4th & 8 からショートパスで前進してFGを狙ったこの場面、上の図のタイミングでMIAの選手が触らなければダウンにならず(ダウンバイコンタクトの原則)、MIAが勝てたのではないかという話が一部であったが、

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もしMIAの選手が触らなくても、少なくともこのタイミングで前進の意思が無いとみなされ、ボールデッドとなった可能性が高い。NFLは通常転倒しただけではダウンにならないが、QBのスライディングなどそれ以上の前進の意思が無いとみなされるダウンは、相手が接触しなくてもボールデッドとなる。

【参考7-2-1d】

 when a runner declares himself down by:
(1) falling to the ground, or kneeling, and clearly making no immediate effort to advance.
(2) sliding. When a runner slides feet or head first, the ball is dead the instant he touches the ground with anything other than his hands or his feet.

  

2. 試合終了間際②

(SEAvsPIT 0:03)

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  メトカーフの謎ファンブルが引き起こした大混乱。SEAのスパイク後にゲームクロックが0を示したため試合終了かと思われたが、オフィシャルレビューの後残り3秒から再開となった。どう見てもスパイクが完了したのは1秒か0秒であったためおかしな空気になったが、からくりとしては以下の通りである。

  放送中にも説明されていたが、そもそもこのオフィシャルレビューは「ゲームクロックが0になる前にスパイクが完了していたか」に対して行われたのではなく、1プレー前の「キャッチ成功」という判定に対してのものであった。NFLでは前後半残り2分以内のプレーはすべてリプレーオフィシャルが確認しており(∴チャレンジが出来ない)、疑わしい事象がある場合はレフリータイムアウト後にオフィシャルレビューを行うことができる。そのレフリータイムアウトはオフェンスに利益を与えないようにするため、オフェンスがセット位置についたタイミングでとられることになっており、今回の場合だと下図の時点が該当する。よって「残り3秒 1st & 10(審判のレディーフォープレーで計時開始)」から再開されることになったのである。

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(なおメトカーフのプレーはボールをキャッチした後数ヤード前進しているため、通常であればリプレー検証されるようなものではないと思うが、あまりにもあり得ないシチュエーションでのファンブルであったため、ボール確保の完了に疑問を持ったのではないかと想像される)

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  ちなみにゲームクロックの残り時間に関するレビューは、「残り2秒以上で時計を止めるべきであっよことが明らかである時」にのみ適用されるため、今回のような「残り1秒 or 0秒」といった場面はそもそもオーバーコールの対象外である。

【参考15-3-9 Item1(2) 】

An on-field ruling that time expired during or after the last play of any half, or of an overtime period in the preseason or regular season, or of an overtime half in the postseason, is reviewable by the Replay Official only when the visual evidence demonstrates that the clock should have stopped with two or more seconds remaining.(以下略)

3. 無資格捕球者のダウンフィールドへの侵入について

  NFLとNCAAでルールが異なることもあり、多くの人が混乱しがちな無資格捕球者のダウンフィールドへの侵入(以下IDP)。詳細は以下の記事にまとめてあるので、興味のある人は確認していただきたい。

①NFLルールとNCAAルールの違い

以下の表に簡単にまとめた

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②実例1

(BUFvsTEN 2Q 7:54)

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  これは#75が1ヤード以上前に出ているが、相手を押し込んでいるためIDPではない。1ヤードを越えてから、最初に当たった選手(多くの場合DL)以外の選手(LB等)をブロックしに行ってしまうと反則になる。

③実例2

(BUFvsTEN 1Q 5:30)

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  実例1と同じ試合からIDPをとられたプレー。こちらはスクリーンパスが投げられる瞬間の画像であるが、TEN #60がスクリメージラインから1ヤード以上前進しているのがわかる。
  なお、実際の判定においては「1ヤード以上」を「2ヤードを越える位置に到達していたら」として考えているらしく、際どいプレーは流される傾向にある。


4. サイドラインの妨害とIllegal Hideout

(LAvsNYG 1Q 0:55)

  このプレーはNYG、LA双方にアンスポーツマンライクコンダクトの反則があったが、どちらも珍しい反則であった。

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  NYGの反則は矢印で示したコーチがプレー中にラインジャッジの前を横切ったことに対するサイドラインの妨害の反則で、アンスポーツマンライクコンダクトの一種であるため15ヤードの罰退。

  LAの方は通称「illegal hideout」と呼ばれる反則で、パスをキャッチした#18が12-3-1(l)「オフェンスの選手は、自チームのベンチがあるサイドのサイドラインから5ヤード以内にセットしてはいけない」に違反していた。こちらもアンスポーツマンライクコンダクトであるため15ヤードの罰退。
  なおNFLのフィールドはナンバーの下辺が12 ydsに設定されているため、おおよそナンバーからサイドラインの半分より内にいなければならないことになる。

  NCAAルールにはこのようなセット位置について定めた規定はないが、交代を装って相手を混乱させるようなプレーはひきょうな戦術として禁止されている(こちらもアンスポーツマンライクコンダクトで15ヤードの罰退)。

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