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NFL反則解説シリーズ #13「イリーガルシフト/イリーガルモーション」

<注意>

①情報の正確性には細心の注意を払っているが、誤りを含む可能性がある。また、簡単のために一部省略していることがある。

②特に注意書きが無い場合はNFLルールの話である。

③記載内容は執筆時点で最新のルールに基づく。

④基本的な単語については解説を省略することがある。分からない単語があった場合、過去の記事「#0-3 反則に関する用語」「#0-2 罰則の運用」を参照していただくか、ネットで検索していただきたい

■要約

イリーガルシフト(Illegal Shift : ILS)はシフト後に1秒静止しない反則、イリーガルモーション(Illegal Motion : ILM)は前方向にモーションする反則。どちらも5ヤードの罰退となる。

■定義

・イリーガルシフト

オフェンスチームはスナップ前に全員が1秒静止さえすれば、一度セットした状態からであっても複数人何度でも動いて良いことになっている。こういった複数人の動きを「シフト」と言う。ただし、シフト後に1秒の静止が無いとイリーガルシフトとなる。

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【シフトの例 : 4人が同時に動いている】

・イリーガルモーション

 基本的にオフェンスチームはボールがスナップされた時に全員が静止していなければならないことになっているが、1人だけ「モーション」として動いていても良いことになっている。このモーションには①モーション開始前に全員が静止している、②モーションしているのがバック、③スナップ時に前方向に動いていないという3つの条件があり、この②、③に違反するとイリーガルモーションとなる。
 オーディブルをかけようとするなどしてQBが前方向に動いている時にCが間違えてスナップを出してしまうことがあるが、これもイリーガルモーションとなる。

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【モーションの例 : KC#25が横方向に走っている】

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【QBのイリーガルモーション】

■罰則

プレビアススポットから5ヤードの罰退。

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【ILSとILMのシグナル : ILSは両手、ILMは片手で同じ動きを行う】


■補足

 どちらもスナップ時の状態が基準となる反則なので、オフサイドやイリーガルフォーメーションなどと同様にライブボールファウルである。

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 シフトとモーションを同時に使う場合、シフトが完了(=全員が1秒完全に静止)してからモーションを始めなければない。これを怠るとシフトが継続しているとみなされるので「シフト後の1秒間の静止が行われなかった」としてイリーガルシフトとなる。
 これは前後半2分以内以外で、オフェンスが一度もセットせずにモーションを開始した場合も同様である(2分以内であればフォルススタートとなる)。

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 前方向へのモーションが禁止であるため、そもそもそのような動きとなるアサイメントは組まないのだが、WRがモーションしてからDEやOLBをクラック(横からどつくブロック)することを狙ったプレーで、ブロックへの意識が強いがあまり無意識のうちにベクトルが前方向になってしまうことがある。そのようなブロックを行う選手は練習から意識しなければならない。
 別に助走のようになってなくても、一歩でも前に動いてしまうと反則となる。RB(FB)はシフトやオービットモーションなどで前方向に動きがちなのでこちらも気を付けたい。

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 アメフトではないが、最近日本で話題のカナディアンフットボールでは、複数人前方向にモーションすることが認められている。もちろんスナップのタイミングを合わせる必要はあるのだが、WRはほとんどのプレーで助走をしながら、場合によってはフェイント等も入れながらパスルートに出る。

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【CFLにおける複数人前方向モーション】


■NCAAルール

 NFLと全く同じである。ただし、オフェンスチームが一度も静止しなかった場合は時間帯に関わらずフォルススタートとなる。

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