見出し画像

✨記事のお勉強✨


緑いろの信号                 

信号の緑は青みがかった緑だが、たまに青くない緑の信号がある。
歩行者用の信号ではなく、三色の専用の信号のなかにある。
そういう信号の信号機はたいてい古ぼけているので、たぶん、型のふるい
ものなのだろう。

すこし舐めてちいさくなった飴玉のような、浅い感じの緑だ。
わたしはその緑の信号が好きで、ときどきとても見たくなる。
ただ、その信号がどこにあるのかわからないので、いくことはできない。
普段、風景としてしか場所をみないのが悪いのだろう。

私にとって、街は風景と風景の整列したもので、その境目は、すべて電車や
バスやタクシーがつないでくれている。
これはもうどうしようもないことで、私に欠落しているのは方向感覚ではなくて、方向という概念なのだろう。

信号は、だからいつもふいにやってくる。
「あっ」
と思ったときにはもう通りすぎている。なにしろ青信号なのだ。
これが赤信号ならもうすこし見ていられるのに、といつも思う。
「ここどこですか」
信号を通りすぎてすぐタクシーの運転手さんに訊いたりもするのだが、
代々木、とたとえば教えてもらったところで、あまり役に立たない。
「あっ」
全然心の準備ができていないときにいきなり目に飛び込んでくるそれは、
でもたぶんだからこそ、贈り物の様ようで心おどる。

子供のころ、父がときどき買ってきてくれた「おみやげ」に似ている。
緑の信号は、夕方に見るととりわけきれいでなつかしい。
一度、みぞれの降る夕方にそれを見たことがある。
不思議な具合に感傷的で、どこかとても遠い町にいるような気がした。
「あっ」
と思ったときには、でもやっぱりもう通りすぎていた。

江國 香織『とるにたらないものもの』より           

"再確認のために書く”そしてそれを暖かく保存する為の、シンプルだけど、
密度の濃い江國さんの言葉には彩がある。 オリビエ・ドゥプレの流れる
絵具のような偶然性もある。決して黒い額には入れたくない空間も感じる。
この空間って、普通、文字を読んだだけでは、なかなか感じられるものでは
ない。 文字の並んでいる紙上の白い空間が、いつのまにか、違った次元の
空気になったように、私はそこをすり抜けて落ちていく感じもする。

解説 佐々木敦子
  

作家『江國 香織』さんの、超短い短編が、60編入ったエッセイ集です。

『とるにたらないものもの』
作者の日常のいとおしいものたちを題材に書かれたエッセイが楽しくて✨

「緑いろの信号」は、全文を引用させて頂きましたが、723文字です。
ほかのエッセイも、大体、多くても1000文字以内なのです。

漢字とひらがなの使い方や、割合のバランス・・
短い文章のなかの行間からあふれ出る感情・・

さすがに作家さんなので表現力があるのです💛

この本は、2003年に単行本として刊行されました。

まったくこの本の存在は、知らなくて 最近主人が飛行機の中で読むのに
買ってきた本なのです。

まだ、60編全部は読めていませんが、noteの記事を書くときのお勉強に
使うことが出来ました。

題材や見出しも・・
「あー こんな感じでいいのかー」

もっと気楽に日常の取るに足らないことを書いてもいいんですね🍀

また、これから楽しんで読みながら学んでいこうと思います。

🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬🐟🐳🐬

きょうは、思いがけず梅雨の晴れ間💛です。ラッキー💛
なぜ、きょうはお昼間に投稿しているのでしょうか?!

会社を自主休みにしてしまったからです(笑)

忙しすぎて、「もう イヤ!!」となってしまったんです。
ココロがザワザワしている時に、何をやってもうまくいきません。

昨日は、車の運転も怖いぐらい疲れていて・・
ものすごい急ブレーキを踏む場面が・・・

何ともなかったので良かったのですが・・
こんな時は、休めるなら休まなければいけません。

仕事も多忙な中、幸い機械の故障などで 停滞していたので・・
朝、上司に電話をしてお休みをいただきました。

朝から、田舎道をちょこっとドライブしてきました。

お昼は、家で仕事をしている主人と食べて・・・

これから魅惑のお昼寝と楽しい読書のお時間です🍀🍀🍀🍀

貴重な一日をゆったりすごします。
それではみなさま、ごきげんよう✨✨✨✨💛🍀🌈


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?