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零細起業の経営実務(28)雇用保険に加入する

起業を考えている研究者の皆さんに、リーゾの体験をお話しするシリーズ。今回は、人を雇ったら必ず入る「雇用保険」についてです。

そもそもですが、起業して会社を作ったからといって、必ずしも人を雇う必要はなく、ひとりでやっている限り、雇用保険は関係ありません。人件費は売上がなくても毎月出て行く、とても怖〜いお金です。なので、人を雇うのは経営者にとってとても勇気の要ることです。逆に言えば、人を雇い続けられるのはとても幸せなことだと思っています。

リーゾの場合ですが、設立の数ヵ月後、元同僚が取締役になってくれ、フルタイムで働くことになったのを機に、労働保険に入りました。
(本来、取締役は雇用保険には入れませんが、入れる道はあるんです。経営者はどうしたってダメですけど・・・)

雇用保険の適用対象となる労働者を、初めて雇い入れることとなった場合に必要な手続として、何をしなくてはいけないか?を簡単に説明してみます。

まず、雇用保険というのは「労働保険」の一部で、労働保険には「労災保険」と「雇用保険」の2つが含まれます。で、「労災保険」は労働基準監督署で、「雇用保険」はハローワークで手続します。必ず「労災保険」が先です。

(1)労災保険の手続
労働基準監督署(つくばの場合は、土浦の亀城公園の近く、常陽銀行の裏あたりにひっそりと存在しています※)に行って、
 1.労働関係設立届
 2.労働保険概算保険料申告書
 3.履歴事項全部証明書(コピーで可)1通
を提出します。
(※労働基準監督署は、その後場所が変わりました)

2の概算保険料申告書ってなんぞや?と思いますよね・・・。
労働保険料の払い方というのはちょっと独特で、この先1年間の分を予測して計算(概算)してまず支払い、次の年に清算しつつ、またその先1年間の分を概算して払う、という形を取ります。

要するに先払いで、加入時に初年度分をとりあえずの計算で支払うわけです。

(2)雇用保険

労災保険の手続が済んだら、ハローワーク(つくばの場合は、やはり土浦の、市民会館の斜向いあたりにあります※2)に行って、

 1.雇用保険適用事業所設置届
 2.雇用保険被保険者資格取得届
 3.労働関係設立届(控)
 4.労働保険概算保険料申告書(控)
 5.履歴事項全部証明書 原本1通
 6.労働者名簿

を、提出します。3と4は、労災保険を申請したときにもらうものです。
(※2 ハローワークも、その後場所が変わりました)

届出を出すと、その場で「雇用保険被保険者証」をもらえますので、これは本人に渡します。事業主用の控えもあります。

初回だけは、ハローワークに行って窓口で手続しなくてはなりませんが、その後、二人目、三人目を雇った場合には、窓口はとても混むため、郵送の方が歓迎されるようです。特に「4月から雇用(離職)の場合には、4月【下旬】頃に送って欲しい」と切実な様子で壁に貼ってありました。

ちなみに、雇用保険被保険者が離職した場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」というものを出します。

蛇足ですが、64歳以上の方を雇う場合、雇用保険に加入できて、しかも保険料は免除!となります。雇う側としてもかなりお得。シニアの雇用を促進しようという施策なのでしょうね。

さらに蛇足ですが、ハローワークって超ブラックな職場かもしれません。窓口の人、目が死んでるしクマできてるし頬こけてるし、書類書きながら見えない誰かを小声で罵り続けている女性もいて、ちょっとホラーでした。事業者の手続はともかく、失業者の対応はストレスフルなお仕事なのでしょう。それでもカウンターの反対側に回るよりはまし、ということでしょうか・・・。

(2017年7月5日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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