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あの手この手で笑わせる楽しさは蜜の味


もういや!!! 知らない!やらない!!やだ!!!


そう言って大声で泣いていた女の子がいた。

機嫌が悪くなってしまったのだろう、自分の持っていた荷物を置き去りにして走り出してしまった。後ろにいた人が急いで追いかけ、捕まえていた。

よく見たら知っている子だった。

その捕まえて話をしていた人も何か用事があったみたいで一度離れなければならないらしく、その間だけ私がその子を見ていることになった。


やだやだ!!

ぐずって話は聞いてもらえない。


このまま寝っ転がってると汚れちゃうよ?

べつにいいもん、汚れないもん。


持ってたかばんとか散らばっちゃったからちょっと引っ張ってこれる?

やだあ。


私の問いかけは何も響かない。最初はお話しすることで何が気に入らなかったかを聞き出して、それを解決するもしくは説得する。みたいなことをしようと思っていたのだが無理そうだった。

ひとまずいろいろな人が通る場所で寝っ転がってるのは問題だなあ、と思ったのでちょっと起こしてもいい?と聞いてから体を起こさせた。

何か気を引けるもの…そう思い思いついたのが髪の毛をぼさぼさにして遊ぶことだった。(もちろん自分の笑)


いいな~長い髪素敵だね、うらやましいな!

渡し方にもつかないんだもの”ばさぁ!”って髪の毛見せるのもできない!


そう言って自分の髪の毛を何度もものすごい勢いで後ろにはためかせた。実際は髪の毛が短いので、美しくなびくことはなく、ただただ私の髪がボサボサになっていくだけ。ヘアセットなんか台無しだ(笑)

それでも、その子は笑ってくれた。

目の前の大人とされる人が、髪の毛をボサボサにして顔が見えなくなった状況をみて、楽しそうに笑っていた。


よし!!


私は勝った。

別に勝敗とかじゃないんだけど、笑わせられるかられないかという自分の中で勝手に始めていた勝負に勝ったのだ。(笑)


私たちが笑うポイントなんてそれぞれで、1つ試してみたところで効果がないことなんてよくあること。

それでも諦めず、結果的に行きついた方法がなかなかにおバカな行動だったり、そんなこと?と思うような変なことだったとしても、結局笑ってくれれば勝ちなのだ。


何より、人を笑顔にすることは何とも言えない楽しさがある。

そのためにあの手この手を考え試してみるその時間は、きっと私たちにとっても楽しい時間になっている。


1回だけで諦めずいろんな方法を試してみよう。笑顔になれる方法はきっと見つかるはずだから。




おしまい!



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