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かこきゅうになりました


かこきゅうになった。


おやとのかいわのすえにかこきゅうになりました


みかたじゃなかった

かこきゅうがやっとおちついたから自室にもどろうとしたらついげきされた

まだりびんぐでさわいでる


だめだ

だめだわたし

ここにいたらだめだ

いえにいたらだめだ

たすけて

たすけて

もうきこえないで

したのこえきこえないで

たすけて

たすけて

たすけて



今頭が全く動かない中で友人に打ったメッセージに気付いてくれて、電話をして、やっと、ゆっくりキーボードを叩けるようになりました。椅子に座れる体制も変えれるようになりました。

最初は些細なことだった。

ある物事を引き起こした本人かどうか覚えていなかったから、分からないといった。犯人につるしあげられた。

その2人に、覚えていないもの、記憶にないもの、そうかもしれないしそうじゃないかもしれないことに、もう自分で折れるのが耐えられなかった。自分を守るために主張した。

でも言われた言葉は「それ政治家も同じこと言うよね」だった。信用されてないのが、私が犯人だという決めつけがもう笑うしかないほど丸見えだった。


そっか、そっか。


思わず出た失笑にさらに食いつかれた。それでもごめんだけは私のこれだけは守りたいを守るために言わなかった。それ以外の言葉で言葉を尽くそうとした。

相手はさらに声を荒げた。相手が欲しい言葉は「ごめんなさい」だったから。

収まらぬ声に援護射撃が入った。それは、「早く言え!」という言葉だった。つべこべ言わず、元の話なんかどうでもいい、この迷惑かけた状況に謝れと。

意味が、分からなかった。

助け舟を出してくれたひとも、「余計なこと言うな!」と怒鳴られる。もう限界だった。



のどを通らないご飯、これ以上ここにいたらやばいと感じた直感。箸をおき手を合わせ、ごちそうさまと言い席を立った。その瞬間。


「座りなさい」


首を振った。

「座りなさい」

首を振り手を振った。

「座りなさい!」

「立たせてください」

「いいから座りなさい!」


「ここでいいので立たせてください」



堪忍袋の緒が切れたのか叫ばれた。



「今ここで説教をされているこの状況で逃げるのか!!!」




しこうがていしした。




もう一人は「意味わかんない」とか「そんなんじゃ社会でやっていけない」とか「最悪」とかずっと言ってた。

もう一人も相変わらず何か言ってた。と思う。でももう認識できなかった。判別できなかった。



天井を仰ぎ、のどってこんなに細かったっけと思うほど両手で多い首をのどを抱き込んで、高すぎる高音を奏でた。前傾になりカクンと足が折れた。床に落ちる前に叫んでいたひとに抱きかかえられていた。硬めのビニールを猿轡のようにはめられ上半身だけかなりそらしたあおむけの状況。乱れた呼吸は治まらなかった。

椅子に座っていたもう一人が、動いた気配はなかった。

改善しない状況を見てなのか、助け舟を出してくれた人がさすり役を後退していた。前かがみになり背中をぽんぽんと叩いてくれた。徐々に、徐々に、乱れた呼吸が収まっていった。


自室に行こうと促してくれた声にうなずき、立ち上がれた私は1人1人別々の場所にいた2人に壊れたまま謝りに行った。2人目の先ほど椅子に座ってたほうに謝り終わり、助け舟を出してくれた人に支えられながら自室に行こうとしたとき、何も変わらないトーンでこう追撃された。


自分の食べたもの・食器くらい片付けてって




またきおくがとまった。


通路で力が抜け、過呼吸再発。すぐにそばにいた人が「気にしないでいい、部屋に行こう」といってくれて、担いでくれて入り込んだ自室の座布団に倒れこみ、また過呼吸と闘った。

信じられなかった。

先ほどよりも発作は小さかった。呼吸を整えている間、1人の声がいつまでも聞こえていた。つんざく高い声が、いつまでも聞こえていた。意味わからないと叫ぶ声が、聞こえ続けていた。


やることがあるからと、呼吸が整った私は椅子に座った。パソコンを開いた。文字を打とうとした。


うてない。


指が一切動かなかった。まんまるい涙の粒だけがオートでぽろぽろと瞳からこぼれ落ちていた。キーボードに添えるだけ添えた手がそのキーを押すことはなかった。


ぽろぽろ


聞こえ続けるつんざく声。


ぽろぽろ


暗闇の部屋パソコンのあかりだけが光るのも正面で手だけをキーボードに置き動かない



ぽろぽろ



ああ。




頭は本当に全く動かなかった。それでも手が、手だけが、キーボード上を一つ一つ動いていた。オートだった。


そして打った文章が、冒頭のあの平仮名だけの文字だった。スペースキーを押すとか、変換するとか、そんなことはできなかった。ただ手が動いていただけだった。私の心の声だけをただ、うちこんでいた。


みてほしかった。でも必ず見てもらえるわけでもないと思いながら撃ち込まれたひらがなの連続を見てまた涙がぽろぽろ零れた。

気付いた友人が電話を繋いでくれた。状況を話して、泣いた。

たすけてと泣いた。

それはおかしいと怒ってくれた、具体的に外に出る方法を調べてくれた。買いかぶらなくていいと、分かりやすく過去の出来事も引っ張り出して「だから離れて?」と言ってくれた。特大ブーメランをくらわされた。


話しているうちに、体勢が変えられるようになった。キーボードが打てるようになった。



自己認識の話や家庭状況が「それは特殊だ」とか、本当にマジ何なの!?とか、そういう話をしながら少し軽口を叩けるくらいにまで回復した。言ってくれてよかったと言ってもらえた。私も学んでるよ、本当に、ありがとう。と伝えた。



明日朝のバイトがあると言ったら、寝られるか、起きられるか、大丈夫なのかと心配されたから、無理だったら座ったまま寝ると答えまたひとゴチャゴチャがあり、また何かあったら言いなね、おやすみ、ありがとう。と言って電話を切った。


衝撃的過ぎて思い出した言葉を送った今、このnoteを書いてる。もはやnoteでも何でもない。手が動いた通りにうつだけの文章だけど。



のこしておかなきゃ、と思って。




私の、記録を。

大切な、私の記録を。




2021.01.09 【かこきゅうになりました】




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