卯の花腐し/午後4時過ぎに/ 楽譜売り
「卯の花腐し」という言葉を知る。「卯の花」は「空木」ともいう。白い花が枝垂れるさまが、山に掛かるレースのようで素朴なうつくしさがある。その花が五月の長雨によって朽ちていくさまを「卯の花腐し」というらしい。「腐」という言葉があるけれど汚さは感じない。一見スマートだけれど、嫌悪する言葉も多々ある。
ゆうべに見た夢を午後4時過ぎくらいに思い出す。靄がかかったような体の奥底がずん、と重くなるような夢だった。どうせなら一日が終わるまで忘れていたかった。
棚を整理して何冊か楽譜を売った。ふと、そうか私は「音楽」にずいぶん前に振られていたんだな、と思う。それがいつだったのか考え始めると、思い当たる時期がいくつかあった。「ずっと探していたものです」というメッセージが楽譜の買い手から届く。その人の元でまた音楽にしてもらうんだよ、と丁寧に梱包をした。
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