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理由が説明できる好きなことと      理由がいらない好きなもの

私は忘れたくなかったし、
父にとっても忘れたくないというものであってほしい。と
今日も心底思っている。

春のヘンテコな陽気に誘われて

この部屋は正午過ぎの14:00〜16:00くらいまでの時間帯に
私が望んでいる以上に西陽が当たり窓際が暖かさでいっぱいになるんだ。
GWが始まって2日目の今日はヘンテコな空模様だったようで
気持ちがモヤっとしてどこか落ち着きがなく今日はとことんダメだった。
こういう時って誰かと話したくなるなぁ。いやだなぁひとりは。

ほんの少しのマイナスな気持ちも相まってなのか気がついたら布団の上で
意味もなく“恋愛映画”を真っ直ぐな眼差しで見続けるのを好んでいたんだ。
爽やかな男の子とブロンドの女の子のお話で、
主人公の青年がタイムトラベルをしながら真実の愛の意味を探究していき
何気ない普段の日々が“かけがえのない時間“ だったと気づく美しき瞬間に
映画を観終わる頃には抱えていたモヤっとが消えて心が暖まっていたんだ。

この物語の中で進んでいく日常時間といい、
男の子と女の子の気持ちが通じ合って恋人同士となり育んでいく愛情表現が
私自身の性に合っているため大好きな作品。
幼き頃から何度も観ていて価値観を形成させてくれた思い入れのある残像で
これは理由がいらない好きなものになるなあ。

こんなことを思いながら、夢見心地でいたようで
目が覚めると正午12:00を時計の針は刺していた。
普通の、ごく普通の規則正しいお昼ご飯を食べた。
私は昨日の心の暖まりの余韻にヒタヒタに浸りたくなって1曲の音楽を流す。
oasis 「Morning Glory?」というアルバムである。
アンプ生産で有名なMarshall社のスピーカーから流れてくる波打つ音と共に
聴こえる低音のギター音に耳を澄ませていたらば、
ふと・・・、幼き頃に父と過ごしたとても楽しかった日々を思い出したのだ。

ここから父の外側と内側の姿について書こうと思ってるが話きれるだろうか。
話が前後して思い出されることが多く、時系列がバラバラになるだろうけど。

私は二人兄妹の四人家族。父は母方の家系の職人業を継いで手に職をつけた。
昭和の考え方を醸し出し、堅物の性格を持ち合わせ、信念を貫き通すという、
昔ながらの漢の中の漢がそのまんま似合うような人物であると私は思ってる。
私が生きてきた生活は常に母の存在が一番の身近で、
父の存在がどこかなにかと遠いとそう思えた時間が長く感じてきたこともあり
共に過ごせる時間が愛おしく思えたり輝かしかった。

珈琲と父、新聞と父、洋楽と父。

この光景が繰り返される日常だ。
朝、起きて初めて 「今日を生きるための息をする。」のと同じくらいの頻度で
父の大きな背中を見続けてきた。
幼き頃の私から見ても悠々としていて男気が溢れていてカッコ良く思えたのだ。

その光景を見られた瞬間は
朝ごはんが準備される間の束の間の時間ではあったと思うが
父にとっては、優雅だった。
ソファーに腰をかける父の姿は
片手にブラックコーヒーを持ち
まだ眠そうな眼を擦りながらも
分厚く活字だらけの朝刊を読みながら一日に必要であろう情報を脳内に入れる。
自分の耳に聴こえるか聴こえないかくらいの音量で
iPod classicからサラッと流す洋楽も聴き心地が良いものばかりであっただろう。

父は今現在でも私が世界でもっとも尊敬する人だ。
これは大げさじゃなくって、なんの誇張もなくって。
母の次に身近で私は父を見てきて、ただただそう思う。

嗚呼…
無性に父の存在が愛おしく声が聞きたくなったので久しぶりに電話をかけた…。
秒で電話に出てくれた後の一言目が
『元気にしてるか?』『俺も声を聞きたいと思っていた。』親子だなと思えた。
聞きたかった声でそれを言われると
もう泣けてきてしまう。ずるいなあ。

いろんな話をした後にね、私が思い出した出来事の話を持ちかけてみてみると…
現在の生活スタイルはあの頃の以前と比べると大きく変わってしまったようだ。
どこか受話器の向こう側から聞こえてくる声が悲しげだったように捉えられた。
そして逆に私自身の生活スタイルを聞かれた。
話をしながら後に気がついたことであったが、
見続けてきていた当時の父の生活スタイルを自然と身体が覚えていたらしくて
私らしさを少々プラスして受け継いでいたんだ。

親の影響を受けやすいとはよく耳にして聞くが、
恐るべし遺伝子、恐るべしDNA。
『父の遺伝子半分が身体中を巡り生かされてる』
という事実にとてつもなく誇らしさを感じているのだがら紛れもなく親子だ。

幼き頃に父と過ごしたとても楽しかった日々、
見続けてきていた当時の父の生活スタイルが、
理由が説明できる好きなことに値するのだから
この先に生きて出逢えるであろう私の最愛の人はその二人の手を取り合って
この世のどこにもない物語を
私たちのスタイルを創り上げては継いでいってくれる人なのかもしれないな。
そして、私もおんなじように
その人の中の物語を人生を継いであげられる人でありたいと思っているんだ。


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