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「技術力とは何か?」について考える #内省録

何気なしにふと気になったテーマを取り上げ、自分の経験、思考、価値観と向き合いながら深堀りをしていくシリーズ。内省したものをこうして記録することで、

  • エンジニアとしての成長のロードマップ

  • 自分が取り組んでいる分野の動向の推察

  • 今後の活動に関する意思決定

のために役立てていこうというもの。要するに、思考・価値観の人間ドックである。

もうすぐ今のベンチャーに入社してから1年が経つのだが、「そういえば前職の大企業で働いていた時の1年目ってどんなことしてたっけ?」と振り返ってみる。

「1年目の振り返り」と聞いて思い浮かぶのが、「役員たちの前で、自分は1年間どんなことをやってきたか」の発表会のことである。これは2年目社員全員がやらないといけない通過儀礼である。

この役員たちの前での発表だが、発表者本人の評価(出世とは関係ない)だけではなく、その部署のメンツもかかっている。そのため実態は、各部署で発表会のリハーサルを何度もやりながら、部課長に「役員たちの好きそうな美しいパワポ・セリフ」にガッツリ修正させられたものを発表する。たいてい一発目に社員が作ったパワポは「研究発表っぽい」か「やった業務の羅列だけ」になってしまっているのでそれに修正が入る分にはいいのだが、リハーサルを重ねるにつれて部課長の趣味趣向のゾーンに突入することは珍しくない。

発表内容は全員がテンプレ化しており、1年でやった業務の中で「1番バエる」業務をピックアップし、それについて10分程度で発表する。「バエる」のは必ずしも「大変だった・成長できた」という意味ではない。設計として入社、実際に1年目から設計をやらせてもらえる人はほぼいないので、だいたいは

  • 現地に行ったことの発表(写真をたくさん掲載)

  • 3DCADや解析ソフトの使い方を学んで、実際に解説してみたという発表(3Dモデルやコンター図をたくさん)

  • エクセル作った業務管理表や計算シートの発表(スクショ+いらすとやを使って、そのシートの使い方をマンガっぽく説明する)

あたりに落ち着く。そして

  • 「世界で通用するよう技術力を磨く!」

  • 「誰からも信頼されるような技術者になる!」

などと言って締めくくる。なんだか茶番のように聞こえるが、私個人的には「人前で何かを発表する」という行為自体はいいことだと思っている。設計者は社内DRで周りの人に設計内容を説明するだけではなく、お客さんにとっての技術窓口になることもあるので、個人的には必須スキルの一つだと思う。発表内容は別として。

ところで、この「技術力」とは一体なんだろう?当たり前のようにみんな使うが、それは具体的に何を指しているのだろうか?

これについて深掘りをしていく。

大企業での仕事で、技術力は磨かれるのか?

大企業時代の師匠(私の35個歳上)によく言われていたのは「この会社にこだわることはない。どこへ言っても食っていけるような技術力を磨け!」ということだった。

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