傷跡について思うこと
私は生まれつき心臓に穴が開いていたため、
0歳~1歳頃に手術をしている。
もちろん、記憶はない。
その後は、定期的に検査をしていたが、
大きな後遺症はなく、成長していった。
しかし、胸の真ん中に真っすぐ
15㎝程度の手術傷があり、
この傷跡が私を苦しめた。
学校の身体測定、
修学旅行や家族旅行でのお風呂、
水泳の授業などで、傷を見られるのが本当に苦痛だった。
普段は傷跡が見えない。
そう思うと、
『私には誰かを好きになる資格がない』
と思うようになった。
そんな気持ちで生きていたので、
男性とつきあう事など考えてなかった。
しかし、社会人となった頃、
私に猛烈に近づいてきた男性がいた。
当時の私は、自分に自信がなかったので、
とても消極的な性格だった。
当然、口数も少なかった。
自己主張が激しい女性が多い職場だった。
「おとなしい女」が入ってきて、
少しだけ美人だったので、
興味を持ったのだと思う。
常々、母からはこのように言われていた。
怖かったが、
母の言葉を信じて彼と付きあった。
彼は私の傷跡を見ても、
何も動じなかった。
そして、母の言葉どおり、
私を大切にしてくれた。
皆に祝福され、結婚した。
子どもも授かった。
しかし、離婚してしまった。
離婚したことが今でもつらい。
裏切られた「心の傷」が、
疼く時がある。
私の心の傷跡を具現化したら、
すごい状態だと思う。
離婚後、子宮筋腫の開腹手術をし、
下腹にも10センチほどの
大きな傷ができた。
物理的な肉体の傷はどうでもよくなった。
それよりも、心の傷跡のほうが深刻で、
触れられたくない。
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