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2024年8月のセルフステートメント

当初、「沖縄県でのアメリカ空軍兵による日本人女性への性暴力事件は、神奈川県でも起きていた問題である」という趣旨を書こうとしていましたが、急遽内容を変更します。

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フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』にて、2024年8月4日と11日に、「あきらめない僕たちの歌」前編・後編が放送される予定でした。
この回は、東京都杉並区高円寺にあるライブハウス『無力無善寺』を取材しました。

しかし、女性ライブミュージシャン「つはる」さんが、このライブハウスの経営者「無善法師」氏から、性暴力を受けた経験をブログに書いていたのを、Xにて発表しました。

この声は、性暴力被害経験のある色々な方に広まり、フジテレビに放送中止を求める要望が多数寄せられました。

事態を重く見たフジテレビは、「あきらめない僕たちの歌」の放送中止と、番組内容差し替えを発表しました。


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『性暴力被害の告発』という、声に出すだけでも勇気のいる発表を、無力無善寺の経営者は、公式サイトで「事実無根のデマ」と否定しています。
それだけならまだしも、Xにて、声をあげた「つはる」さんを誹謗中傷するようなポストを連発し、「つはる」さんがたびたび否定し、消耗している状態にあります。

無力無善寺は、2千円で誰でもライブ活動ができるという手軽さから、多くのミュージシャンに愛されていましたが、経営者はそれを「標的の選別」に悪用していたと思われる声があります。

「つはる」さんは、2012年にも性暴力被害の経験があることを公表されました。

この件は、自身も性暴力被害の経験がある、俳優・フェミニストの石川優実さんや、「つはる」さんや石川さんなどと共に、フェミニズムパフォーマンスを展開されている「ババカヲルコ」さん、それだけではなく、性被害経験のある数多くのサバイバーたちが、声を上げました。

性被害経験者の中でも、その被害経験をパワーに変えて、「性教育」「性暴力」を含めた『性問題活動』ができるのは、限られています。
動けるパワーがある人だけが、動けるのです。
影響で動けないままの性被害者の腕をつかんで、一緒に声を上げる、そんなことは絶対にできません。

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放送は中止されましたが、性被害者への二次加害、誹謗中傷は止まりません。
性被害者は何も悪くありません。
「被害者にも責任があったんじゃないか?」という「被害者非難」は、被害者をさらに追い詰めます。

悪いのは、全て『性暴力の加害者』です。

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性暴力加害は、『初犯は防げない』という認識が広まりつつあります。
また、性加害の当事者は、大抵の場合、指摘されても自分の行為を否定することで、「自分が大変なことをしてしまった」という現実から「逃避」することで、自分の精神を正常に保とうとする心理行動が働いてしまいます。
性加害者が、「自分の加害」に向き合えるようになるには、長い時間がかかります。
(これは、僕自身が「性加害の経験」もあるから、言えることです)
しかし、加害者が「自分の性加害に向き合う」のは、『再犯防止』のために、必要なことなのです。
性加害者の治療で有名な、精神保健福祉士の斉藤章佳氏は、『再犯防止』に重点を置いたプログラムを行っています。
プログラム受講者の再犯率は低くはなく、再犯で服役した後もプログラムを受け続ける人にも、「希望を捨てずに」対応されています。

大事なのは、『性被害を防ぐ』のではなく、『性加害を減らす』ことです。


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