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一本の線が糸になり、針へ

私の人生の大きな転機は、バングラデシュのNGOエクマットラとの出会い。

エクマットラとはベンガル語で「皆が共有する一本の線」という意味です
路上生活をする貧困層の子どもたちへの直接的な支援と共に、富裕層の人々にも自国の社会問題を自分自身の問題として認識してもらうためにエクマットラでは映像制作による啓発活動を行っています。
バングラデシュに存在する気の遠くなるような格差を超えて、人々が自発的に路上の子どもに手を差し伸べ、皆が手を取り合える社会。
「皆が共有する一本の線」とは、そんな社会の実現を目指し名付けられました。(HPより抜粋)

出典: https://japan.ekmattra.org

バングラデシュの言語・ベンガル語の上部には、まっすぐな一本の線が引かれ、文字と文字が繋がっています。字が読める人なら誰でも使う一本の線。
格差を超えて皆が共有する一本の線。
このかよわくも確かな「つながり」の線は、当時(14年前)の私にとって、大きな勇気をもらえる言葉でした。

私たちは何もできない。無力だ。
世界の問題の大きさを知れば知るほど立ちすくんでしまう中で、それぞれの場所で頑張る人たちの背中は、希望の光そのものだ。

エクマットラで学んだつながりの線。
そのご縁は隣国ネパールにつながり
私は今ネパールとご縁をもらって
フェルトマスコットを作る事業に携わっている。

そのフェルトマスコットを作るには「ニードル」と呼ばれる針とフェルトを使い、チクチクチクチク、と、形を整えて行く。

糸がより集まり、フェルトの固まりになり、
チクチクチクチク
チクタクチクタク
時間をかけて、そのマスコットは出来上がっていく。

ネパールの女性が作るフェルトマスコット

一本の線が、糸になり、針を手にした女性達は今、これを仕事として収入を得ている。

私の中では、かよわい線の物語が国境を超えて新しい「誰か」のために、新しい事業が生まれてここまで育ったことに少なからず感動的な思いがある。

ここまでくるのに、7年の歳月を費やしている。

長いようであっという間、困難の連続のこの事業。ここらあたりで少しこれまでの紆余曲折を文章にしたためたいと思っています。〈次回へ続く〉

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