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関ジャムaiko特集O.A直前緊急企画-今の気分でaiko19選-

本日夜にO.Aされる『関ジャム 完全燃SHOW』はキリンくらい首を長くして待っていたaiko特集。プロが選ぶaiko全19曲という企画のようなのだけど、こういうのは小生も腕が鳴る!ああ選びたい選びたい選びたい・・・。

と、ゆう訳で緊急企画。aikoジャンキー歴23年、チャム坂本の『今の気分でaiko19選』いってみましょう!Here we fxckin' go!!















チャム坂本の『今の気分でaiko19選』

  1. あした (1998)

  2. 二時頃 (1999)

  3. 花火 (1999)

  4. ココア (2001)

  5. マント (2002)

  6. アンドロメダ (2003)

  7. ポニーテール (2004)

  8. 三国駅 (2005)

  9. 小鳥公園 (2005)

  10. 愛のしぐさ(2005)

  11. シャッター (2006)

  12. KissHug (2008)

  13. あの子の夢 (2010)

  14. ラジオ (2011)

  15. 距離 (2014)

  16. 微熱 (2016)

  17. ばいばーーい (2021)

  18. メロンソーダ (2021)

  19. 列車 (2021)













ハァ。産まれた。。。ぢゃなかった、選んだ。選び切った。断腸の想いで切った曲も数知れず。しかるに、これが「現時点」でのチャム坂本のaiko19選です。aikoの曲で何が好き?とよく聞かれるんですが、その時その時の気分や感情で決まるので、「今」視点でしか語れないんですよ。でもそれが今なら、それでいい。

以下曲ごとにレビューしていきます。aikobonや雑誌インタビューなど楽曲に関する文献を全部実家に残してきてしまったのが悔やまれる・・・。よって出典は以前に執筆したブログと脳内のハニーメモリーからです。

1.あした(1998)

緊張気味のアー写

記念すべきaikoのデビュー曲。後にも先にも作曲者がaiko(クレジットはAIKO)以外なのはこの曲だけ。作曲者はSMAPの『shake』『ダイナマイト』『たいせつ』『らいおんハート』『BANG! BANG! バカンス!』などを手掛けた小森田実(現コモリタミノル)氏。aikoは当時鳴り物入りのデビューではなく、この曲が映画『トイレの花子さん』の主題歌としてのスポット契約だったことも、外部作家が起用された背景となっている。

自分にとってのaiko原体験がまさにこの曲だった。当時CDTVのランキングで、月イチで50~100位がオンエアされるというコーナーがあり、その70位台とかそれくらいの順位だったと思う。PVと共に各曲5秒くらいの高速でランキングが流れていく中、『あした』というタイトルとaikoという浮遊感をまとったアーティスト名、そしてちょっと甘い声色と無機質なオケの感じがフックとなり、妙な引っ掻き傷を僕の耳に残した。これが後にこんなにも尾を引くことになるとは・・・。

深田恭子のデビューシングル『最後の果実』と曲調が酷似しているが、これはあしたのリメイクであり意図的なものである。しかし今聞いてもこの曲の異質感はすごいな。ある意味シンガーソングライターとしては不本意なデビュー曲にも関わらず、その後見事に才能という力技でうっちゃり、輝かしいキャリアの序章に変えてしまったaikoの凄まじさよ。

2.二時頃(1998)

2ndシングル『ナキ・ムシ』のカップリングであり、2011年のベストアルバム『まとめⅠ』にも収録。さらに2016年リリースの12thアルバム『May Dream』の特典ではライブver.としても新録された佳曲。恋愛における甘さ、切なさ、苦しさ、優しさ、悔しさなど沢山の感情が想起され、情景や匂いまでも浮かびあがってくるような素晴らしい歌詞。これからも何度も何度も味わって聴いていきたい。

3.花火(1999)

aikoの3rdシングルであり言わずと知れた出世作。当時僕は高3。受験勉強中、この曲がラジオから流れてきてもうあまりの衝撃でペンをブン投げ、耳をかっぽじって曲を体中に浴びたのを思い出す。そしてCDTVで見たあのaikoと同一人物だったという事を知った時、えも言えぬ嬉しさと、これから始まるであろう不思議な高揚感に胸躍った。「夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして こんなに好きなんです 仕方ないんです」こんな超絶パンチラインを喰らったらそりゃK.Oされるでしょう。今聞くと歌詞の文字数が異様に多い。「第一次ラップ」期と本人が振り返っていたインタビューを読んだことがあるが、これがのちの『明日の歌』『舌打ち』などに繋がっていくことになる。

4.ココア(2001)


9枚目のシングル『おやすみなさい』のカップリング曲。ここまで曲全体を通してコーラスがフィーチャーされた曲もなかなかない。コーラス好きとしては堪らない。よって選曲。2019年11月、あきなろpresents『小さな丸い終業式』にてTHE DOGSとしてないちゃん、ケンちゃんと演奏したのは楽しかったなあ。そういえば昔aikoの曲を1曲ずつ解説するブログでこの曲を取り上げたことがあったなあ。えーっとどれだっけ?

「奥さん、見つかりましたよ」(by島田紳助)という事で以下、2013年01月21日のチャムブログより。なんか評論家っぽく書いちゃってるのが鼻につきますが笑、まあいいや、いってみましょう。

「aikoの曲の真髄はカップリングにある」
人口に膾炙かいしゃした認識ではないだろうが、自分はaikoの曲に興味を持った人やaiko好きな人に対して長らくこう伝えて来た。

『ココア』はその中でも特にaikoというアーティストの本質を目いっぱい堪能できる一曲だ。順位の移り変わりはあるにせよ、自身でも常にカップリング曲の中で五指に入るくらい思い入れが強い。

2011年に発売されたベストアルバム『まとめ1』『まとめ2』には『二時頃』という曲がカップリングの中から唯一大抜擢されたが、上記の意味合いにおいては『ココア』でもよかったんじゃないかと思う程である。
(『二時頃』の素晴らしさについては言わずもがななのでここでは割愛)

シンセのキラキラしたグリッサンドにタム回しのドラムフィルインで始まる可愛らしいイントロ。そしてすぐこの曲のキーサウンドとなるスライドギターが滑り下りてきて曲全体をふわっと味付けする。全体を流れる穏やかなリズムとアコースティックな曲調がとても印象的なナンバーではあるが・・・。

歌詞を紐解いてみると、珍しく「あたし」というaikoの代名詞とも言える言葉が出て来ない。詞先行で曲を完成させるaikoのスタイルとしては、曲全体としての表現として「あたし」という存在は非常に大きいものだが、それがない分、この曲では声でいろいろと「主張」していると感じる。

1番と2番のブリッジ部、スライドギターの隙間に絡む2声コーラスのフェイクは吐息が漏れているようでとても艶めかしく、続く2番Aメロの全編に渡るコーラスで身体は痺れる。間奏では再びスライドギターと舞うように絡み合うaikoのスキャットが展開され、更にCメロ(大サビ)では主旋律の裏を別メロディのコーラスが奔放に動き、主旋律を追いかける。

止まらないでいて つかまえていて ずっとずっと
指を絡ませて 心繋げて 深く深く

後半部裏のコーラス、主旋律を追い求めてグーッと上がっていく音程の熱はまさにあなたに寄り添う「あたし」そのものだ。「深く深く」で確かめ合うように重なる美しいハーモニー、突き抜けるフェイク。アウトロのフェイクでは演奏に再びaikoの和声が乗り、ラストは艶めく「二人」の声だけが響き渡り、最後の一瞬、息を呑む音。

あたしではない「あたし」、まるで情事のような「2人の世界」。声とコーラスワークだけでここまで艶やかに、あでやかに、しかもPOPに仕上げた作品はかつてあっただろうか。

内緒でキスしよう 分かってるね
後戻りはさせないよ 絶対秘密よ
二人のキスしよう きつく抱いて
後戻りはさせないよ そして秘密よ

この曲はとても好きですねぇ。(中略)この当時ラジオもやっていたし、恋の相談とかして「浮気なんてとんでもないです!!」ってすっごい言いまくってたので、ちゃんと言えなかったんですけど、ま、そんな感じの曲です(笑)。(中略)知ってほしいんですよね。好きです、この歌は。
『aikobon』aiko's linernotes p.366より

歌というのは不思議だ。
辛い歌詞も軽快な曲に乗せる事ができるし、どうでもいいような戯言でもヘヴィサウンドに紛れさす事ができる。

『ココア』は曲こそポップで聴きやすいが、曲に内包される声や想い、艶、歌詞に宿る意志という意味においては、やはりアーティストaikoの本質がいっぱい詰まったとても可愛く、そしてとても強い曲だと思うのである。

「aikoの曲の真髄は『ココア』にある」

今日からはピンポイントでこう言ってみようかな。


ココア

こんな時言葉が邪魔だったりする 伝えたい事たくさんあるのに
目を見るも今はすごく恥ずかしい
見ないで 全部ばれてしまうから

心の底を正直に あなたにいくつ言えるかな?

内緒でキスしよう 分かってるね
後戻りは出来ないよ 絶対秘密よ
二人のキスしよう 少し苦しい
後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

ぶつかって寄り添う波を見つめて 深呼吸してちょっと黙って 
「うまくやってゆこう」右へ左へ
繋いだこの手 力入る

こんな夜には暖かい ココアに二人包まれて

内緒でキスしよう 分かってるね
後戻りはさせないよ 絶対秘密よ
二人のキスしよう きつく抱いて
後戻りはさせないよ そして秘密よ

止まらないでいて つかまえていて ずっとずっと
指を絡ませて 心繋げて 深く深く

内緒でキスしよう 分かってるね
後戻りは出来ないよ 絶対秘密よ
二人のキスしよう 少し苦しい
後戻りは出来ないよ 一生秘密よ

5.マント(2002)

4thアルバム『秋 そばにいるよ』1曲目収録。イントロのピアノからの綺麗なコーラスでもうマントがふわりと風に乗るシーンが曲から見える。大学3年時の四ツ谷駅の秋の風とか、好きだった子と歩いて武道館ライブに行ったこととか、当時の色んな思い出と直結しているので外せなかった。ヒゲダン世紀の名曲『Pretender』の「グッバイ」はこの曲へのオマージュでした、とか藤原君言い出さないかなあ笑。

6.アンドロメダ(2003)


13枚目のシングルで、グリコ乳業「カフェオーレ」CMソング。個人的にaiko曲の中で最も好きな16ビート曲のうちの1つであり、加えてサウンド、メロディ、アレンジ、歌詞、歌唱など全てにおいて高い次元で結実しており、aikoキャリアでの最高峰に君臨する楽曲。佐野康夫氏のドラミングは当時のRECでも最近のライブでももはや神がかっており、この曲に浴することが出来た時、私は静かに天に昇る。

7.ポニーテール(2004)


16thシングル『花風』のカップリング曲。これをされたら弱い男子も多いことでしょう。かくいう私もその一人。ポニーテールって何であんなにグッと来るのかね?aikoお得意のハチロクビートに乗って鬱屈とした心情を吐露されるようなAメロバースは「握りつぶしてあげるのになぁ」という強烈な歌詞で締めくくられる。そしてサビフックの「戸惑うなら明日も明後日も結ぶわ」というリリックに完全に打ちのめされてバトル終了。必殺曲。


8.三国駅(2005)

17枚目のシングルで、大阪に実在するaikoの地元の最寄り駅を冠した曲。LOVE LIKE ROCK vol.2では一早く披露されていた。少ない音数と抑制されたゆるやかなビートがそこはかとないノスタルジーを醸し出しており、過去の叙情的な風景もとても秀逸に表現されている。丁度この曲がリリースされた3月ごろ一人旅で大阪にいたのだが、なんとキャンペーンで三国駅に来ていたaikoと1日違いでニアミス・・・。くっ。。。以後、aikoの誕生日には大阪へ出向き、三国駅へ参拝するという恒例行事が数年続くことになる。

9.小鳥公園(2005)


上記『三国駅』のカップリング曲。aikoのお家芸とも言えるジェットコースターメロディの真骨頂。こんなアヴァンギャルドなサビメロ誰が思いつくんだ・・・。ライブで運よく聞けたときはイントロでヘドヴァンモードにスイッチオン!結果いつも首をヤります。。。訳わかんないタイトルも含めて超大好きな曲。

10.愛のしぐさ(2006)


6枚目のアルバム『夢の中のまっすぐな道』収録。アルバム曲。重厚なピアノコードのイントロを経て放たれるaikoの歌声はとても崇高で胸がすくよう。2番からビートが変わることで更に曲のテンションが増幅する展開もたまらなく好き。10数年前くらいに自分のソロライブでギター一本で無理矢理弾き語ったなあ。意外とよかったと思ったんだけど、音源どこいったかな?笑。

11.シャッター(2006)


7thアルバム『彼女』の1曲目で、後にベストアルバム『まとめⅠ』にも収録。

2006年、私は千葉のFMラジオ局bay-FM(78.0)の『ON8』という番組での企画「aikoイントロクイズグランプリ」で優勝した。その予選会会場の扉を開けると、間違いなくaikoのバックトラックで、でもまったく知らない曲が大音量で流れていた。それこそがまさにリリース直前のアルバム『彼女』であった。当時のブログでこう述懐している。

予選会は神田にあるビルの一室で行われた。人数にして50-60人はいたか。
室内に入ると聞き慣れない、しかし音像は間違いなくaikoの楽曲が次々と流れている。これはもしや・・・。

間違い無かった。流れていたのはこの日時点で「発売前」の7thアルバム『彼女』だった。挑戦者を最上級のファンファーレで迎え入れる主催者の心意気に、オレの士気も最高潮に達した。

チャムのブログより

その1曲目だった『シャッター』を聞くと今でも胸震えたイントロクイズグランプリを思い出す。個人的にも『彼女』がフェイバリット・アルバムであり、この頃のaikoは文字通り「脂が乗っている」状態だったように思う。

12. KissHug (2008)

24thシングル。「花より男子F(ファイナル)」挿入歌。aikoのシングルで(現時点で)一番好きな曲。ここまで夏の切なさ、温度、風景、匂いを呼び起こしてくれる作品を知らない。イントロのトライアングルからピアノ、Bメロからのストリングス、サビに向かって高揚していく佐野康夫さんのドラミング、「夏髪が頬を切る また年を重ねてきっと思い出す」という歌詞、間奏の変則的なリズム、大サビの放たれたスケール感、最後の「I love」のvを発音しない感じ。全て最高。これ以上の言葉無し。


13.あの子の夢(2010)


9thアルバム『BABY』収録。NHK連続テレビ小説『ウェルかめ』主題歌で、アルバム曲ながら同年の紅白歌合戦でも歌唱された。

特筆すべきは間奏後のDメロ。メロディ、コード全て訳わかんないまま突貫工事のように進んでいき、気づけば大サビに無理矢理着地していたという。Dメロ選手権があったら間違いなく優勝曲。一聴したとき、本当に何が起こっているのか分からず天を仰いだことを鮮明に思い出す。以下、aikoマラソンというブログを執筆されている方のブログより引用。凄まじい解説です。刮目せよ!

13曲目「あの子の夢」

kenzee「そしてNHK連ドラ「ウェルかめ」主題歌のコレがシングル化されていないことのナゾ! 「BABY」中最大の問題作であり、これ1曲で「Yellow」5曲分ぐらいの価値がある。島田アレンジにしてはよく整理された楽器構成でプレイヤーもタイトに突進してくる。イントロの「ドダドドダドド」というドラムのフィルだけで150円ぐらいの価値がある。そしてスタッカート気味に歩き出すリズム隊。まさに現代のハル・ブレインとジョー・オズボーン。ベースのミックスが大きめなのも好ましい。ギターは確かに2本いるが控えめな使い方で島田さんじゃないみたい、見事な交通整理。これがaikoだ! 連ドラ視聴者の一般ピーポーども!いきものがかりとかとは5枚ぐらいウワテだとわかったか!(アレ?いきものがかりも島田仕事だっけ?)紅白11回出場はダテじゃないワ!と思い知らせる、詞・曲・編曲・演奏がガップリ4つに組んだ奇跡のトラック。と、油断した瞬間に大変なことになる。FM7から素直にダイアグラム通りに動くポップスらしいサビ。その2番が終わったあたりから事件が起こるのである。ブリッジである。「物音に怯えて 耳を塞いだら さよならなんて簡単だけど 素直に向き合いたいな いらないものだけ捨てようかな」の進行! まず流れからの必然性のないBM7から始まりますよ! 

BM7→C#7→A#m7-5→D#7→Am7-5→D7→Gm7→C7→
Fm7→Gm7→A♭M7→B♭M7→C7

リスナーはなにが起こったのかわからないだろう。通り魔のような25秒。そして何事もなかったかのようにシレーっとFM7のサビに舞い戻るのだ。いったい「素直に向き合いたいな」などどの口が言うのだろう。まるでフダンはマジメなOLなのに週末は不純異性交遊やドラッグなどで反社会的な遊興に勤しみ、週明けには何事もなかったかのように会社の朝礼に参加している極道OLのような曲想。連ドラの視聴者は戸惑いながら言うだろう。「aikoってポップなの?キチガイなの?」(答え、両方)と。しかし、そこは慣れっこのアレンジャーとプレイヤー。「ア、いつもの「キチガイ展開ですね」と言わんばかりに佐野さんなどノリノリで地獄の25秒間、ハイハット開きっぱなしだ。この地獄の25秒だけで600円ぐらいの価値がある。60年代ポップ路線の到達点と言えるだろう。ナゼ、これが「まとめ」に入ってないのか。こんな爆発物みたいな危険物みたいな曲を収録することはまかりならんと当局からお達しがあったため、とはもっぱらの噂。アレ、でも地獄の25秒は連ドラのテレビサイズでは(ワンコーラスしか流れないため)放送されなかったのか。もったいない」

kenzee観光第二レジャービル

14.ラジオ(2011)

ベストアルバム『まとめⅠ』『まとめⅡ』の初回盤特典CDに収録。音源はピアノ弾き語りだが、白眉だったのが2017年10月29日『岡村隆史のオールナイトニッポン歌謡祭』@横浜アリーナで披露されたバンドアレンジ。以下当時のツイート。

ライブでの『ラジオ』があまりに良すぎて、コピーバンドで一回はライブver.やってみたいと思っていた。そしてそれは2019年初頭あきなろpresents第二回「小さな丸い音楽会」にて泡のようなバンドだったとして結実する。

15.距離(2014)


11thアルバム『泡のような愛だった』収録。アルバム曲。友達と恋人の微妙な境界線、それを巡る感情の機微を掬い上げるような素晴らしい曲。「親指の爪でくちびる弾いた」という歌詞が堪らない。「あなたの笑った顔が好きだよ」というフレーズをリフレインするところも、「あたし」の覚悟にも近い情念を感じる。こういったアルバム中のそこはかとない曲、とても好きです。

16.微熱(2016)

36thシングル『恋をしたのは』カップリング曲。戦慄すら覚える程のあなたに対しての粘度。それが儚げな旋律に乗って堪らなく心に響く。サビのホーンセクションがここまで効果的に鳴っている曲も珍しい。2017年の「aikoも応援!! Love Like aiko Super Session」で武茶郎兵衛むちゃろべぇとして演奏できたのは嬉しかった。

チャームーグリーン

17.ばいばーーい(2021)


14thアルバム『どうしたって伝えられないから』1曲目。いよいよここまで来たか、、、という曲。情念が円熟し狂ったというか、とにかく命懸けで実存的な凄まじい曲。

昨年、Quick Japanが主催した「aikoエッセイ大賞」にて大賞を受賞した顛末についてはかつて記した通り。

その時は『Last』という曲をテーマに書いたのだが、複数応募が可能だったため、実は『ばいばーーい』でも書いてたのです。で、今回そのボツ作品をこの機会に成仏させたいと思います。以下、『ばいばーーい』のショートエッセイです。どうぞ!

「aiko、新曲のタイトルはカタカナ?、英語?」
あの日、本人に伝えられなかった事がずっと引っかかっていた。
2020年2月7日、aiko Live Tour 『Love Like Rock vol.9』 @ Zepp Tokyo。
aikoは曲に行く前のMCで「新曲です。聞いて下さい『バイバイ』」と言った。確かにそう聞こえた。

人間同士の気持ちを伝える言葉、感情を届けるコトバ。それは時として色々な表情を見せる。

同じ単語でも話し言葉なら声の大きさやトーン、言い方や表情、書き言葉であれば前後の文脈や登場人物の関係性、表記の違いでも全く違う意味合いを持つ。

ライブの帰り道、僕は彼女が曲名として発した単語と、直後に披露された新曲の世界観を重ねようとした。ところが生で受け止めた曲と歌の強さが、どうしても『バイバイ』という僕が感じた語感と釣り合わなかった。
「また明日ね」の軽いニュアンスでも、「じゃあさよなら」というあっけらかんとしたものでもなく、「もう会えないね」という諦念を含んだものとも少し違う。寧ろ、「とまどい」、「怒り」、「忘却」、そして「命がけ」というワードが想起されるような切迫感のある曲だった。だから曲名は『バイバイ』や『Bye Bye』とも違う気がしたし、かといってそれ以外の案は浮かばなかった。その曲とタイトルは僕に、ゴツッとした異物感を残した。

そして1年後に発表されたタイトルは『ばいばーーい』だった。

愕然とした。歌詞カードを何度も見ながら曲を繰り返し聴いた。彼女の示し
た曲名は、1年前、僕がライブで感じた様々な想いを全てカバーしていた。そして音源となった歌詞と曲にも、この想いを絶対聴き手に伝えたい、届けたいという覚悟と矜持が満ちているように感じた。

「aiko、新曲のタイトルはカタカナ?、英語?」

あの日、僕が彼女に伝えられなかった事を
彼女は確かに僕に届けてくれた。

チャム坂本:2021年Quick Japan
「aikoエッセイ大賞」応募ボツ作品

18.メロンソーダ(2021)



同じく14thアルバム『どうしたって伝えられないから』2曲目。もともとは2019年に大阪のFM局、FM802のキャンペーンソングとして実に20年振りに楽曲提供した作品で、Radio Darlingとしてaiko、上白石萌歌、谷口鮪(KANA-BOON)、橋本絵莉子(チャットモンチー済)、はっとり(マカロニえんぴつ)、藤原聡(Official髭男dism)、そしてコーラスには、KAN、秦基博という㌧でもない布陣でリレー形式に歌われた。そして最新作にてセルフ・カバーされ、ライブツアーでも頻度高く披露された同楽曲。

とにかく楽曲に宿るシアワセ成分が密度高く濃縮されており、それが演奏されるとオーディエンスにぶわーっと拡散されるようなイメージの曲である。もう「生きててよかった・・・」くらいのレベル。コーラスワークはもう神仕業ってくらいの域。転がされてアウトロで完全にイッてしまいます。マジでメロンソーダ、サイコ、サイコ、サイコ、サイコゥ!!!

19.列車(2021)


41枚目のシングル『食べた愛/あたしたち』のカップリング(3曲目)。イントロの踏切を思わせる等間隔で無機質なピアノフレーズから、一気に列車がホームにやってくるような性急なビートで展開される同曲。ああ、やっぱこの曲神カップリングだわという実感を得たのは、ライブツアーLOVE LIKE ROCK vol.9での演奏を見てからだった。今年に入ってのコピバンイベント「LOVE LIKE aiko vol.23」にて、THE TRAINSとして1曲目に演奏できたことは本当に幸せだった。


という訳で駆け抜けてまいりました全19曲。ああ、『ぬけがら』入れたかったよ、『くちびる』外しちゃったよ・・・『ふたつの頬花』泣く泣くカットしよ。。。もう万感の思いが去来してます。こんなの無理だわと思いながらも、こういった縛りがなければ書けなかったのも事実です、実際今執筆時点で21時半ちょい前。オンエアまであと1時間半しかないけど、何とかどうにか間に合った。終わったどーーーー!!!

ってことで文字数はなんと気づけば1万字オーバー。やば。本当はもっと詞的に音楽的に学術的に論じられればよかったんだけど、もういいや、終わりたいや笑。みなさんの19曲もぜひ教えてください!

お相手はチャム坂本でした。

それがーーーーーーーーーー













aikoーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!


(完)





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