映画コラム「ローマの休日とハリウッド・テン」

「ハリウッド・テン」の事は記事から外そうと思っていましたが、堂々と映画になりましたので、改めて再編集致して紹介致します。((￣_｜ｺｿｯ。

で、有名なのが名作「ローマの休日」になりますが、この映画をピックアップして
「ハリウッド・テン」を少し書きますね。🙏

「ローマの休日」
原題：「Roman　Holiday」
１９５３年・アメリカ・パラマウント映画
監督：ウイリアム・ワイラー
主演：オードリー・ヘップバーン　
グレゴリー・ペック他

不朽の名作「ローマの休日」は、今更　何も語る必要も無いほどだと思いますが、
この名作の裏の歴史的な悲劇は語って置きたいと思います。

「ローマの休日」はアカデミー賞受賞作品でもあり、オードリー・ヘップバーンの
アメリカ・ハリウッドデヴュー作品であります。
その受賞のひとつに「原案賞」がありますが、
当時の受賞者の名前は、イアン・マクラレン・ハンターでした。

でも実は、原案を書いた人物は全くの別人であるのです。
これは「ハリウッド・テン」と呼ばれた、ハリウッドのブラックリストと呼ばれる
汚点でした。

まず、「ハリウッド・テン」とは何か？

作品製作の時代、1940年代～1950年代後半までの
まだ、第２次世界大戦の名残でもある【赤狩り】と呼ばれた、
共産党を疑われた人間を、ハリウッドから追放する為の魔女狩りのような議会に呼ばれ、
それに欠席した人物に「議会侮辱罪」として、有罪判決をされ、
執筆活動を絶たれた人物１０人の事を言います。

公開された「ローマの休日」のクレジットには
脚本家=イアン・マクラレン・ハンターとジョン・ダイトンになっています。
　
そこには、本当の原案者のダルトン・トランボの名前は一切クレジットされてなく、
ハリウッド最大の汚点。と言われる事件でもあります。

ダルトン・トランボ
1905年12月9日~ 1976年9月10日
代表作に「ジョニーは戦場に行った」等多数。

ダルトン・トランボは　議会会議を欠席した為に有罪判決を受け、
脚本家としての執筆活動を絶たれてしまい、
何年間にも渡り、一切自分の名前を語らず
友人の名前を借りたり、偽名を使いながら執筆活動を続け、
「ローマの休日」の原案を書いた本当の
人物。

他の作品でもアカデミー賞原案賞を受賞していますが
その時も名乗る事もなく、偽名のロバート・リッチの名前がクレジットされています。
その後、その映画のクレジットは本名で
書き換えられましたが
「ローマの休日」は１９９２年に名前を認められながら、
クレジットは直されないままでした。
（パッケージ等には名前が載っています）

⬆
アーサー・ミラーとマリリン・モンロー
脚本家で共産主義を疑われ、実際に
友人の名前を密告した有名人も数名居ます。

彼等は執筆を絶たれる事よりも、知人の
名前を暴露して、また、それで裏切者の
烙印も世間から買い、しばらくの間おとなしくしていたのは何でもなくアーサー・ミラーでした。

彼はその時期にスターとしての名声を着実に上げていったマリリン・モンローと結婚しています。

マリリンとの結婚の間、一作も書かなかったのも有名。

まるで、世間がハリウッド・テンを忘れるのを待つように。。。

アーサー・ミラーはマリリンの為に「荒馬と女」を後に脚本を書いています。
その後、離婚。3年間の結婚生活でした。

相手役はクラーク・ゲーブル。
クラーク・ゲーブルはクランクイン前に心臓発作で亡くなり、父親のように思っていたマリリンは多大なショックを受け、クラーク・ゲーブルが原因ではないのですが、
マリリンの年齢と共に精神的不安定から
36歳の若さで自殺。
マリリンにとっても最期の映画にもなりました。

⬆
「荒馬と女」(1961)
クラーク・ゲーブルとマリリン・モンロー

で、ようやく2011年の暮れ、映画のクレジットにダルトンの名前を足すことになり
５８年間と言う時間を経て、ダルトンの名前がスクリーンにクレジットされました。

ここまでの経緯には、名前を貸した人物の家族とダルトンの家族とのお互いの団結した行動により、本人達が亡くなった後も、両方の家族が真実をクレジットするべきだと、長い年月がかかりながらも訴え続けて
ようやく、名誉挽回になりました。

資料写真：「ローマの休日」他。
Yahoo!共有写真より。

＊⬆この記事は2012.3.11のFC2で書いたものを再編集致しました。

⬇現在。

「ローマの休日」には観光地「真実の口」のシーンがありますが、もしかすると彼等のユーモアや皮肉もあったのかも知れませんね。

「ハリウッド・テン」に関しては、とても
シリアスな内容なので　物凄く人間模様や戦争の傷跡等、深いシリアスを
イメージしていましたが、映画はキャラクターをコミカルにも描いていますね。

予告編が公開されたので、観てください♪
YouTubeへ行きます♪❤⬇

椎名りつ子
2016.4.20

2019.10.15移行