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ナチスの軍服

日本と韓国のアイドルグループがナチスの制服に似た衣装を着て問題になったことがあります。ナチスのしたことは別として、制服のデザインを「カッコいい」と感じるのは無理ないかな、と思います。誤解しないでくださいね、もちろん、それを実際に着るのは言語道断であり、無知がもたらす恥ずかしい行為です。しかし、ナチスの制服は当時の若者たちが憧れる魅力的なデザインでなくてはなりませんでしたから、歴史を知らない者がそれを見れば、当時の若者と同じように感じることは想像出来ます。

 ナチス政府には優れたマーケティングスタッフがいて、国民の好みの分析、市場調査を徹底的に行っていました。制服も同じで、国防軍、親衛隊、ヒトラーユーゲントの制服の生産は数社の軍服メーカーに依頼し、そのうちの1社はHugo Boss社でした。BOSSのブランドで日本でも知られていると思います。

 1924年に設立されたこの会社は、ナチス政府から経済的な利益を得て、140人の強制労働者と約40人のフランス人捕虜を強制的に仕立て業務に就かせていました。しかし、デザインはBOSSではなく、ナチス政府が依頼したデザイナーによるパターンが送られていたようです。

 BOSS社に戦争責任があるかについては意見の分かれるところです。当時のサバイバーの中には、工場は追加の食料を与えてくれた、収容所での重労働に比べれば天国だった等の証言もあり、判断が難しいのです。

 75年前に亡くなった創設者フーゴ・フェルディナント・ボスは、ナチスが政権を獲得する2年前の1931年にすでにナチス党員に登録していたため、法廷で罪に問われ、10万ライヒスマルクの罰金を支払っています。

 現在、BOSS社はナチス政府に協力したことをホームページでも公式に謝罪しています。

フーゴ・フェルディナント・ボス

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