実体験16 声がでない

一般病棟では、患者の確認の為、名前と生年月日を言わなければならない。

でも、声がでない、、、
人工呼吸器をはずしてまだ2日目。
息でなんとか応えていた。

声がでないことが伝わっていない。
部屋に出入りする看護師や看護助手が来る度に、筆談で

「人工呼吸器をはずしたばっかりで声が出ません」
と書いて見せていた。

日常性格では、こんなにも音声情報に頼っていたのか、、、
身にしみてわかった。
私は手話がある程度できるが、相手が手話を知らないから通じない。

部屋のカーテンの向こうから名前を呼ばれても、声がでないので返事ができない。

だけど、今は、ひとつひとつ管をはずしていくことが重要。

鼻の酸素は抜けた。
次は鼻の管。
必死に食事をとり、鼻の管も抜けた。
随分楽になった。

顔には何もついていない。
倒れた時のあざが顔の左半分にあるくらい。

あとは、尿の管。
点滴。
採血用の針。

それは、僅か1週間で取れていった。

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