実体験12 自分で呼吸することの喜び
人工呼吸器が無事にとれ、口には何もない。
口が楽。
呼吸が楽。
鼻には栄養や薬を投与するチューブが入ったまま。
体には複数の点滴や、尿の管が入ったままだったが、呼吸器がはずれただけで、ものすごく負担がなくなった。
これまで、人工呼吸器に「全集中」だったから。
管が抜けただけで、頭もクリアになった気がした。
実は、口から入っていた管が人工呼吸器だったとは、抜管後初めて知ったのだ。
それまで医師や看護師との筆談では、
「口の管」
と表現していた。
いろいろ理解したのは、ICUを出てから。
退院後、医療ドラマや映画をスマホで見た時、口にバンドのようなものがしてあり、患者は意識がない状態。よく見ると、口に管が入っている。
そのシーンを止めて、じーっと観察する。
外から見たらこんな感じなんだ、、、。
でも患者は意識ないよね。
意識あったら苦しいよ!!
これは、経験した人しかわからないよ!!
と、心の中でつぶやく。
心臓は自分でコントロールすることなく、24時間休むことなく働いているけど、呼吸は自分でコントロールできる。
呼吸するから心臓も動く。
自分のペースでゆっくり呼吸できる。
自分で呼吸ができる喜びを生まれて初めて感じた。
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