『神隠しの庭で、珈琲を』 第一話:サンクチュアリは嵐の先に #創作大賞2024
第一話:サンクチュアリは嵐の先に
この闇の先には、本当に光があるのだろうか。容赦なく降る雨は止み、夜は明けるのだろうか。
『いつまで、このまま夜間飛行を続ければいい?』
小さな子供のような顔をして、今にも泣きだしそうな彼の、震える肩に触れた。
『闇が最も深くなるのは、夜が明けるほんの少し前のことよ』
瀬名朝来は、温かいベッドの中で、夢を見ていた。いつもと同じ、真冬の雪嵐の夢だ。風がごうごうと鳴り、朝来の行く手を阻もうとする。子供であれば、体ごと吹き飛ばされそうな強