【毎週ショートショートnote】 粒状の総料理長


調理師専門学校を卒業後にレストランに就職した香村将は密かにいつか自分の店を持ちたいと考えていた。
しかし現実は甘くなく、結婚のタイミングで友達の父親が社長を務める換気扇の修理などを行う専門業者に転職してしまった。
そんな中、同じ専門学校を卒業した平館尚也が遂に自分の店を持つらしい。


「尚也はすごいよ…夢を叶えてさ…」
「なんだよ…急に…将だって結婚して、子育てしてて偉いよ」
「そうかな…なんか自分の夢から逃げちゃったかな」
「そんなことないって。むしろ俺からしたら新しい夢に向かって頑張ってるように見えるしさ。隣の芝生は青く見えるんだって」
「たしかになぁ〜」
「明日は休みだろ…早く帰って家庭サービスしてこいよ」


次の日。
家族3人で昼食を食べる。


「優馬〜ご飯できたぞ〜」
「おいしそぉっ〜と」
「将、今日は蟹玉チャーハン??」
「うん。秘伝のタレを使ってみたんんだ」
「いただきまぁ〜す。おぃしぃ〜…パパのご飯は食べるとぼく幸せ」
「優馬は嬉しいこと言ってくれるな」
「私も優馬がご飯作ってくれるから、楽もできるしおいしご飯が食べれて幸せよ」
「ボク、将来はパパみたいに、おいしい、ごはんを作れる人になるんだ」
「そっかぁ〜(笑)」


レストランの総料理長はカッコ良かった。
尚也の店も最高だった。
けど一家庭の粒状の総料理長の居心地も悪くないな。

(556文字)

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裏お題  粒状の総料理長

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