◉38話 地元に根付く醤油作りコミュニティ

※東愛知新聞掲載日:2023/3/27

お醤油絞りの続き。
このお醤油絞りの日、持ち寄りのお昼ご飯を挟んで1日がかりの作業もみんなでおしゃべりしながら平和な雰囲気で過ぎていく。
午前中に麻袋に何層にも重ねて船で絞り終わったお醤油。
絞り袋に残った”醤油の醪(もろみ)”も煮物や炒め物の料理の味つけなどに使えるそう。
生醤油としてそのまま使うものを少し取り分けて、残りを釜に入れて温度を測りながら適温で煮ます。

トキさん曰く、絞ったばかりのお醤油には不純物が残っているそう。それに熱を加えることで、軽い不純物は結合してアクとして浮き、重い不純物は結合して下に沈んでいくそうです。

丁寧に取り除いたアクを茹でた野菜と和えるととても美味しいと聞き、早速畑のブロッコリーと和えてみんなでむしゃむしゃ食べました。手が止まらない自然の美味しさ!
味噌もそうだけれど、発酵のおもしろさは同時期に同じように仕込んでも保管場所や管理の仕方によって出来上がりが違うこと。
実際に私たちの前に絞っていたグループと同じ日に仕込んだのに醪(もろみ)の水分量が全然違っていた。
正解はないけれどみんなで味見をし合って今年のお醤油の出来栄えを語る。
トキさんは絞りの時期になるとあちこちとお醤油グループのある地域を周るそうで、その数は160グループほどだとか。
大豆の自給率、日本の農業や環境問題など色々な課題は山積みだけれど、食の安心安全は自分の手によって作ることができるんだ。
"お醤油を育てる"ことを通してみんなが仲良くなり、いるかビレッジのコミュニティも育っていく。
昔前は村ごと、集落ごとに仕込んでいたというお醤油作りの生活文化が現代の豊川にもしっかり根付いている事になんだかとても嬉しい気持ちになります。

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