見出し画像

あの日誓った友情は #3

カエデは結婚式を挙げなかったので、サツキの結婚式は私達にとって初めてのビッグイベントとなる。

そうは言っても、地元に住むサツキには幼馴染や現在の交友関係で招待したい人がいるだろうし、遠方の私達が招待してもらえるかはまだわからない。

でも、通常のお祝いとは別に何か記念になる物を贈りたいと思った私は密かに計画を練り始めた。

今まで出席した親戚や友人の結婚式を思い出し、自分の理想の結婚式をイメージし、ふとひらめいた。

ウェルカムボードとかどうかな?

しかし、私には美術的センスは皆無。
手作りは無理だな…何か良いアイデアは…と、色々調べていると、とても素敵なウェルカムボードを作ってくれるショップを見つけた。
これだ!これにしよう!

当初はひとりで実行するつもりだったけど、全員揃って式に出席した時、カスミ抜け駆けした…ってなっちゃうな…と3人に声をかける事にした。

それぞれにLINEで計画を送った。

“うわっ!素敵!私その計画に乗りたい!”
“あー、いいね、それ!私参加する!”

カエデとキキョウからはすぐ返事がきた。

式の日取りが決まればすぐ発注したい、あと、式の準備が進む前にサツキにウェルカムボードを贈りたいって事を伝えておいた方がいいかな。
だけど、アオイからの返事はなかなかこなかった。
もう、一体何がそんなに気に入らないのかな。

こんな予感がしたから、4人でのLINEグループを作らず個別に連絡するようにしたけどやはり正解だった。
そもそもグループに招待したところでアオイが参加するとは思えなかったから。

数日後、催促のLINEを送ると、

“私は私で何かお祝い贈るからその話は不参加って事でお願い”

そんな返事がきた。


“私とカエデとキキョウ、3人からウェルカムボードをプレゼントしたいんだけど…いいかな?”

サツキにLINEすると、とても喜んでくれた。
アオイの名前が入っていない事には何も触れてこなかったし、私も話題にしなかった。

それから暫くして招待状が届いた。
サツキが住む地は、飛行機を利用しないと不便な遠方。
どうせなら何日か休み取って、旅行気分で楽しもうかな。

楽しみな気持ちですぐ〈出席〉の返事を出した。
同時にウェルカムボードを発注した。

「自分の事のように」のはこの事だ。
私は自分の結婚ではないのに、既にドキドキとワクワクでどうしようもないほど興奮していた。

♪も〜い〜くつ寝〜る〜と〜♪

替え歌を口ずさんでしまうくらい。





数年前難病に罹患し、身体が不自由になってしまいました。 今はほとんどの時間を自宅で過ごしていますが、少しでも社会に出たい気持ちがあります。 電動車椅子を購入する資金にさせていただきたく、厚かましくもサポートをお願いさせていただく事にしました、 よろしくお願い致します<(_ _)>