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祖父のこと

私の祖父は、今年で恩年94歳になる。祖母は89歳。
私の曾祖父が97歳だった。確か曾祖母もそれくらいだった気がする。
文字で並べてみても、かなりの長寿家庭だと思う。

私の祖父は、私が小さい頃から「おじいちゃん」らしい「おじいちゃん」だった。
まさに絵に描いたようなおじいちゃんで、遊びに行くといつもお菓子をくれたり、
公園に連れて行ってくれたり、とにかく甘やかしてくれている。
「蕎麦ボーロが好きだ」と言ったらいつも用意してくれる。もう好きじゃなくなって違うものが好きになってもなかなか更新されずいつも蕎麦ボーロが用意されている。当時は60代だったと思うが、周りも「おじいちゃん」と呼びたくなる人だったんじゃないだろうか。
そんな祖父も今年で97歳になる。
でも、97歳にしては若くパソコンなんかも上手に使いこなして最近では自分史を書いている。自分の祖先のことやらその時の情勢のことやらを調べ上げていて、その集中力と探究心がとにかくすごい。武将の甲を集めたり、海外のコインを集めたり、DIYが流行る遥か昔から、日曜大工をしては1からシルバニアファミリーのお家を作ってくれたり、絵なんかも上手で水墨画家の祖母の下、立派な絵を描いたり・・・。とにかく多趣味でそこそこ上手にこなしている。

そんな祖父は、歌があまり得意ではない。昔は今みたいに抑揚がある歌が少なかったせいなのか。例えば、祖父の歌う民謡の「ふるさと」を聞いても「ふるさと」に聞こえず、「うーさぎ おーいし かの山ー」となるところが「う〜〜さ〜〜ぎ お〜〜いし」と、以上に長く長く歌う。だからいつも途中でなんの歌だったのか見失う。そんな祖父の歌シリーズで忘れられないのが「ぞうさん」だ。なんとも言えない独特のテンポで歌うのがこれが面白い。
「ぞーうさん ぞーうさん おーはなが長いのね」と歌うはずなのだが「ぞーうさん」の時点でちょっと小休憩が入る。
「ぞ〜〜うさん (ふぅ) ぞ〜〜うさん(ふぅ)」
あんなに長く長く「ふるさと」を歌うのに、この曲は「ぞーうさん」の時点でインターバルを入れてしまう。そこからの「お鼻が長いのねー」がトントントンと進んでいく。本当に独特すぎるテンポだ。長く働いていたがおそらく芸術センスがいい人なんじゃないのかと思う。

そんな祖父の教えは「人生の大事な5つのK」だ。
「健康」「感謝」「経済」「謙虚」あとひとつは「ケセラセラ」
第一に「健康」がないと何もできない。そして「感謝」をすること。そして、足りるほどの「お金」そして人に「謙虚」であること。そうしたら後は、なんとかなる。時には流れに身を任せてみることも大事。「ケセラセラ」。
お家時間が増えて、友人とも会わず、会社と家の往復の生活の中、ふと思い出した言葉だった。このコロナでなかなかこの「5K」がバランスよくできていなかった。どんな状況でも「健康」「感謝」「経済」「謙虚」それから「ケセラセラ」を忘れずに毎日を丁寧に過ごしていきたいと思った。今度、コロナが落ち着いて健康な状態で祖父に会ったらまずは「感謝」を言おう。その日のために「お金」を溜めて「奢らず」その日を待とう。

このコロナ禍で1年以上祖父母に会えなくなり、歳も歳なので、「いつまでも元気に」の時間が有限になってきている。祖父は今月が誕生日。祖父に早く会って一緒に蕎麦ボーロが食べたい。

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