The Tooth Fairy
子の乳歯が抜けた。
もうだいぶ大人の歯に生え変わってきた。この小さな歯を見るのはあと何回あるだろう。
思い出すかつての記憶。
娘の乳歯が初めて抜けた時。
乳歯がグラグラし始めていることを知り、
「歯抜けるのやだ!」
とポロポロ涙を流す娘。
「大人になるってことなんだよ。」
「新しい歯が生えてくるよ。」
内心アタフタしつつ、我が子の歯が抜ける経験すら初めてだった母歴 5 年の私は、必死に考えて言葉をかけた。
泣きながら寝た娘の横で、子の成長をそっとかみしめる。
その後、親子でたまたま観ていた Pepper Pig で Tooth Fairy の回があり、
「歯が抜けたら枕の下に入れて眠ると歯の妖精さんが来るんだよ!」
と嬉しそうに話す娘にそっと胸を撫で下ろす。
⭐︎⭐︎⭐︎
子育てはいつだってその歳の子の親としての初心者だ。時代も違うと子育ても異なる。
いつも学んでは試行錯誤の繰り返し。
子の歯が抜けることで泣くことがあるなんて育児書になかったし、かける言葉のお手本もどこにも書いてなかった。
そういったお手本がない世界で、親としての責任と重圧をかかえながら育てていくんだ。
そこそこ晩産だった私だが、
「〇〇さん(私のこと)が人の親になるなんて。信じられない!」
と同僚に言われていた。
私だって今でも信じられないし自信ないよ。
ただ、子供にとっての母親は私だけだから向き合う選択肢以外ないんだ。
今日も明日も時にオロオロしながらなんとか母をやっている。
別の同僚からかけられた
「〇〇さん(私のこと)だったら大丈夫じゃないですか。お子さんも楽しいんじゃないかと」
という言葉を大切に胸に置きつつ。