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【質問内容】「土地と建物」抵当権の設定で法定地上権成立の有無が異なる!?

科目:民法
過去問題:H23-30-3

第1順位抵当権者の抵当権が実行されたのだから法定地上権は成立する。
→だからバツ
解説みると、2番抵当権者がうんたらかんたら…意味不明
解説には判例の文言が載っているだけで理解できない。

回答:法定地上権の問いにおいて、注意すべき事案の一つに「抵当権の目的物」があります。

例えば「土地と建物双方に抵当権が設定された共同抵当の事案の場合」は
”全体価値考慮説”のパターンを疑っていくのが受験のテクニックです。
このような注意すべき事案のパターンの一つに抵当権の目的物があり、土地ではなく”建物”に抵当権が設定される事案があります。
今回の問題がそうですね。

本肢では1番抵当権設定時の土地と建物の所有者は別々です。
これは法定地上権の成立要件からすれば法定地上権が成立しないと考えたいですね。
続けて問題を読み進めると2番抵当権設定時には土地と建物の所有者は
同一人となっています。
これが抵当権の目的物が”土地”であれば1番抵当権を基準とするため
「法定地上権は成立しない。」で正解です。

しかし、今回の抵当権の目的物は”建物”です。
法定地上権は土地と建物どちらに有利に働きますか?
「建物」ですね。

建物に抵当権が設定されている場合、法定地上権を成立させても
担保価値は損ないません。

そのため本肢のような場合は「法定地上権は成立する。」という解答に
なります。(大判昭14.7.26)

平成23年以降、出題されていないレアな判例なので
このパターンだけ覚えておくだけで良いですよ。

解説は以上になります。
担当講師:岡 憲彦


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