見出し画像

【質問内容】担保責任で一年以内にしないといけないものは何?

科目:民法
テーマ:担保責任の期間制限

担保責任の期間制限
極端な例で…
3月1日に時計を買った。
針が動かないのにほっといた。
翌年2月28日に『あっ!時計動かなかったんだった!』と、売主に通知した。
    ↓
1年以内に通知はしたから3月1日を過ぎても権利行使(追完、減額、損倍、解除)はできる?
それとも1年以内に権利行使をしなくてはいけないのか?
ネットで調べたら2つの違うことが書いてあった。

回答:担保責任で特殊な期間制限があるもの、おこなうべきことは、売主保護の視点をもってチェックしてみましょう。

 良い質問ですね。
改正が絡む部分であり、ネット等で調べると改正前の情報がヒットすることもあるので注意したい箇所です。

 まずは、担保責任とはどのようなものかを理解すると、疑問が解消しやすくなります。
担保責任は、主に売買などの有償契約において、給付した目的物又は権利が契約の内容に適合しない場合に、支払った金銭と給付される目的物又は権利との均衡を取るために契約の一方当事者が負担する責任です。

売買契約であれば、売主が負う責任となりますね。

ですが、その責任を売主に永遠に負担させることは酷です、そこで買主の権利行使に期間制限があります。権利行使の期間は、一般の消滅時効の規定(5年又は10年)によります。

 しかし、「目的物の種類、品質の契約不適合」の場合、「買主が契約不適合を知った時から1年以内に売主にその旨を通知しなければならない。(566条)」としています。これは、履行をした売主の期待と、不適合の原因が使用による劣化という場合も考えられ、売主の保護に重きを置いた規定です。
 ちなみに、売主が目的物の引渡時に契約不適合の事実を知り又は
重過失により知らなかった場合は、不誠実な売主を保護する必要がなく
566条の適用はありません。
 また、「目的物の数量の契約不適合」は外形的に不適合が明らかであるため566条を適用せず、一般の消滅時効の規定を適用します。

さて、
ご質問の事例では、
【翌年2月28日に『あっ!時計動かなかったんだった!』と、売主に通知した。】と566条に沿っているので追完の請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除することができます。
改正前の条文ですと、「解除及び損害賠償は売主が瑕疵を知ったときから、1年以内におこなわなければならない」とされていましたが、改正により売主への通知のみと負担が軽減されています。

ネット検索をされた時に、旧法の解説と、改正法の解説が同時にヒットしたのでしょう。
ネット検索をされるときは、注意してくださいね。

担保責任については、下記講義にて、動くスライドを使い、詳しく説明しています。併せて学習すると理解が深まり、使える基礎知識にすることができます。

解説は以上となります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?