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[Vol.6] 「フィールドワーク」の魅力とデータサイエンス

立正大学データサイエンス学部データサイエンス学科 専任講師 松尾忠直

■ データサイエンス学部の「フィールドワーク」の目的
 本学部のカリキュラムには2年次選択科目の「フィールドワーク」があります。本学部の1つの特色として、実務との密接な関係があります。政治・経済・社会・ビジネス・文化・地域などあらゆる分野での活動に、さまざまなデータが収集・活用されています。「フィールドワーク」ではそれらの分野の実務の実態をその現場に向き合うことで身をもって学びます。さらに、その分野で活躍する実務家との対話を通じて、データ利用の実態や問題点を明確に理解することを目的としています。

■ ドローンを使って土地の利用を分析する
 私が専門とする地理学では、土地の利用を分析する際には伝統的に現地での調査「フィールドワーク」によってデータを収集し実態を把握しています。このような調査は、徒歩によって地域の詳細なデータを収集できる反面、多大な労力と時間を必要とします。
 例えば、身近な川の河川敷はどのように利用されているでしょうか?本学部が位置している埼玉県には荒川があります。荒川の河川敷は公園、農地、ゴルフ場などさまざまな用途に利用されています。過去に田や畑などの農地として利用されていた場所が使われなくなってしまい荒地となっている場所も多くみられます。荒地には野生動物が住み着き、草木が生い茂り、人間が近づきにくくなっている場所もあります。

 ここ数年の技術的な進歩によって、このような場所での土地利用の調査にドローンを利用することができるようになりました。ドローンを飛行させ、搭載されているカメラで垂直写真を多数撮影しデータを取得します。パソコンで多数の垂直写真を処理し分析のためのデータを作成します。これを元に土地の利用を分析します。
 ドローンは、このような研究への活用にとどまらず、さまざまな場面での利用が期待されています。本学部にはさまざまな場面でドローンを活用するための基礎を学べる科目が用意されています。

■ 「フィールドワーク」によってデータを収集する
 河川敷の過去から現在までの土地利用の変化を調べることによって、その地域のさまざまな環境の変化を明らかにすることができます。変化の背景には、土地の価値の変化、労働力の変化、食料自給の変化などがあります。
これらを明らかにするには、ドローンによる調査だけで十分でしょうか?「フィールドワーク」にはドローンによる調査だけではなく、その場所に関わる人々との対話も必要になります。さまざまな機器を使ってデータを集めることに加え、人との対話によって明らかにできることがあります。対話の中で、その場所の抱える問題や課題に気が付くことができます。問題や課題の解決に本学部で学ぶデータサイエンスの力が活用できるかもしれません。
本学部では、教室や研究室での学びを充実させています。これに加え、大学の外で「フィールドワーク」や「インターンシップ」などを通じて現場で学ぶことも重視しています。データサイエンス学部で新しい時代に新しい技術を応用できるスキルを身に着けてみませんか!