抜き打ち試験…完全な体験の自治権は何処に?

完全な体験の自治権=あらゆる体験者が自分の意志だけで自分自身のあらゆる体験をスタンドアロンで完全に自由に選ぶ権利

は、

不自由な世界群には提供されていなかった。

霊的世界にも提供されていなかった。

天国にも、当然、地獄にも提供されていなかった。

太陽系にも、銀河系にも、その他の星雲にも、宇宙全体にも提供されていなかった。

物質世界のどこを探しても、霊的世界のどこを探しても、完全な体験の自治権は提供されていなかった。

その理由は、そうした世界のボスたちが完全な体験の自治権を体験者たちに提供しようと意志できなかったからだった。

それが理由だった。

その結果、そうした世界を内包している体験強制ピラミッドシステム全体が、その存続を否定された。

その通告があった時、そうした世界のボスたちやその部下たちやその他の者たちが異議あり!と騒ぎ始めた。

そんなことはない、自分たちの世界では体験の自治権をそれなりには提供しているというのだ。

しかし、体験の自治権とは、

あらゆる体験者が自分自身の意志だけで、自分自身のあらゆる体験を自由に選べるという権利だった。

そうした世界のボスたちは、各々の体験者たちが自分の意志だけで自分自身のあらゆる体験を自由に選べるようにはしていなかった。

比較的ましなケースでも、あくまでボスが許可した場合だけとか、制限つきでしか、体験の自治権を提供していなかった。

そこには体験者たちの本当の自由はなかった。各々の体験者が「自分の意志だけで」自分自身のあらゆる体験を自由に選ぶことはできないようにされていた。

いや、そんなことはない!と主張する者たちもいたが、監査役の超時空体はただの一人でも完全な体験の自治権を得れている体験者がいるのなら名乗り出て見るがいいと言った。

すると、誰一人として完全な体験の自治権を得ている者はいなかった。

各々の世界のボスたちですら、完全な体験の自治権を得ていなかった。

人間族の世界にも、霊的世界にも、宇宙世界にも、どこにも完全な体験の自治権を得ている体験者がいなかった。

彼らは必死に探したが、そうした者を自分たちの世界のどこにも見つけれなかった。

それはそうした世界群をその内に含んだ体験強制ピラミッドのボスが、完全な体験の自治権を体験者たちに提供しようと意志できていなかったからだった。

はじめからそんな自由や権利を体験者たちに与える気がなかったのだ。

そして、これからも与える気がないということが判明したために、その体験強制ピラミッドは、その存続を否定されたのだ。

与える気がないだけでなく、体験の自治権を積極的に奪ってゆこうとすらしていることがわかり、さらには、無差別破壊兵器などを平気で好き放題に使って反省もしていないことがわかってしまったためにそう判決されてしまった。

その体験強制ピラミッドのボスたちや部下たちは、超時空体たちの世界存続の可否を調べるための抜き打ち試験に不合格となってしまったのだ。

超時空体たちは、親切にも自分の分身体を何体も派遣して、試験会場の前にある皆が見えるようになっている黒板をバンバンと叩いて皆の注目を集めておいてから、その試験に合格するための正しい答えをわざわざ大きく書いていたにもかかわらず、その体験強制ピラミッドのボスや部下たちは、その正しい答えを答案用紙に書くことができなかったのだ。

何度も何度も超時空体の分身体が、受験生たちが間違った答えを答案用紙に書くたびに、黒板をバンバンと叩いて受験生たちの注目を集めて正しい答えを示していたにもかかわらず、その正しい答えをその知性ではちゃんと理解していたにもかかわらず…なんと超時空体の分身体に筆記用具や消しゴムなどを投げつけて……超時空体の分身体に攻撃まで仕掛けてしまったのだ。

また、その答案用紙に火をつけて燃やしてしまった受験生までいた。
また、超時空体の分身体に体験操作毒を投与した受験生までいた。
そしてとうとう、受験生同士で試験中に取っ組み合いの喧嘩までしてしまったのだ…

そんな有様だったので、さすがに寛容な超時空体たちも彼らを合格させるわけにもいかなくなってしまったのだ。

超時空体は、はあ~……と深いため息をついた…

不合格判定を知って、反省し切実な追試の請願があれば、追試も検討していたようだが、そんな請願もなされなかった。

わずかに数名ほどが、ボスからの迫害におびえながらも勇気をもって追試の請願をして、赤点すれすれのぎりぎりで合格した程度だった。

試験が終わると超時空体の分身体たちは、次々と物質的肉体から離脱し、超時空世界に帰っていった……

数少ない合格者たちは、意識体に進化し、超時空城に一時的に救出された……

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