見出し画像

アジア人として受けた差別、うちなーんちゅが受けてきた差別

ジョージ・フロイドさんという黒人男性が、白人警官に8分以上もの間、膝で首を抑えられ、死亡してしまったという事件。全米で抗議活動が巻き起こっている。

彼の葬儀では、押さえつけられていた8分46秒の黙祷が行われたとのこと。

この事件をきっかけに思い出した、私自身が北米で経験した差別と、うちなーんちゅがないちゃー(日本本土の人)から受けていた差別について書き留めておく。


アメリカの人気ドラマ『Glee』でも人種差別!?

ジョージ・フロイドさん事件にツイートしたことから、アメリカの人気ドラマ『Glee/グリー』に出演していた女優リア・ミシェルが、過去の人種差別を共演者から指摘されて、謝罪するに至っている。

ただ、この記事によれば、リアは人種差別主義者ではなく、誰に対しても無礼だったとか。さらには、他の人もいじめをしていたらしい。


個人的にはこのドラマは結構好きで観ていたから、そんな現場だったと知って悲しい。

音楽を題材にしたドラマで、出演者たちがストーリーに合わせて名曲をカバーするドラマ。ハチャメチャなキャラクター設定だけど、なんかハマって観ていた。

キャラクターというのは、性格だけじゃなくて、白人、黒人、アジア系、ヒスパニック系、LGBT、障害者など、これでもかというくらいに多種多様な人種が出演していた。

意図的なんだろうなと思っていた。

思い起こせば、人種についても踏み込んだセリフを言わせていたはず。リア演じるレイチェルも、出身のことでいじられていたような気がする。

いじめと関係あるのか知らないけど、Gleeの出演者で何人か自殺しているし、やりきれないね。



私が北米で受けたアジア人差別


カナダのバンクーバーに短期でホームステイしていたことがある。

バンクーバーは日本人にも人気の留学先で、街中を歩いていると、日本語が聞こえるのはめずらしいことではない。

移住や留学でいろんなところから人が集まってきていて、多言語主義で、他民族に寛容な街。フレンドリーな人が多くて、毎日本当に楽しかった。


でも、たしか帰国する前日だったと思うけど、アジア人差別を経験した。


語学学校からの帰り道、偶然帰り道に会った韓国人のルームメイトとホストファミリーの家に向かって歩いていると、後ろから小石がコロコロと転がってきた。

気にせず歩いていると、またコロコロ。

しばらくすると、またコロコロコロ。

・・・コロコロコロ。


さすがにおかしいなと思って後ろを振り返ると、現地の女の子2人の仕業だった。

こちらが驚く顔を見て、くすくすと笑っていた。


驚いたのが、その女の子たちが白人と黒人だったこと。

人種差別というと、黒人が白人に差別されるという認識があった。

それが、黒人と白人が一緒になって、アジア人を差別している。


日本人が黄色人種で、blackやwhiteではなくyellowとして差別を受けることも知識としては知っていた。bananaと差別されることも聞いてはいた。

でも、いざ自分の身に起こると、ショックが大きかった。


石ころを転がされる以上の危害を加えられることはなかったし、ホストマザーに言うと、「とんでもない!」と怒ってくれた。

カナダは今でも大好きな国に変わりないし、また行きたい。




コロナでも差別が横行

差別と言えば、コロナでも差別や偏見が問題になっている。


感染したら犯罪者なのか?

先日、報道ステーションの富川アナウンサーがコロナ感染から復帰して、番組に戻ってきたけど、謝罪したことに違和感を覚える人がいるみたい。

私もちょうど観ていたけど、「謝罪」は違うのかなと思った。


自粛期間中に大人数で集まって食事会をして感染したスポーツ選手が謝罪するのは分かる。

仕事を隠れ蓑にして沖縄にゴルフ旅行に行って感染した芸能人が謝罪するのは分かる。

でも富川アナウンサーは、番組内での発言が事実であれば、何も悪いことはしていないのに、運悪く感染してしまった。


感染防止対策を早期に徹底した他局とも比較され、一緒に仕事をしていたスタッフも感染してしまったことで、富川アナウンサーがどんどん悪者になっていってしまった。

富川アナウンサーは、コロナとは関係ない家族のトラブルや、社内で孤立していることまでネットニュースで挙げられていて、さらに窮地に追いやられた。

精神的にかなりきつかったと思うけど、復帰できてよかった。


「あの説明が事実であれば」という前提条件はつくけど、「感染=犯罪」「感染=悪者」という構図が定着してはいけない。


エッセンシャルワーカーに対する差別はさらに理解できない

自分で商品を注文したのに、運送業者の人に対して差別的な言動をとる事例があったようだけど、人としてどうなんだろう。

医療従事者や保健所に対しての暴言や差別的言動も理解できない。


自身が感染するリスクを抱えながらも、使命感で働いている。

家族を感染のリスクから守るために、家に帰らない人もいる。

コロナ関係の職場で働いていることを家族にさえ黙って働いている人もいるらしい。

寝る時間すらとれずに働いている。

肉体的にも精神的にもきっとギリギリの状態で働いている。

その人たちがいるから助かっているのに、差別するのはひどい。


嫌なことをされて、仕返ししたくなる気持ちが生まれることはあっても、

助けてもらってるのに失礼な態度をとるのは間違っている。



沖縄出身であることを「恥ずかしい」と思う世代がいる

コロナで活躍著しかったのは、政府よりも各都道府県知事。

特に大阪府の吉村知事は、若いのに決断力もあって、国よりも先に行動に移し、影響力があって、注目している。忙しいはずなのに、テレビにも積極的に生出演していて、心配する声も多くあがってますね。


気になるのが、いつも着ていたEXPOのロゴが入ったジャンパー。

大阪万博。

沖縄の人にとっては、前回の大阪万博で、生身のうちなーんちゅが見世物にされたという事件を連想する人も多いんじゃないだろうか。

見世物にされたのは沖縄だけじゃなくて、アイヌ人とか朝鮮人とか他にもいたし、受け止め方はそれぞれ違うのかもしれないけど、沖縄では非難の声が上がったと聞く。


私は、沖縄出身ということで県外で特別な差別を受けたことはない。

むしろ「沖縄出身です」と言うと、好意的な反応を示してくれる人が多い。


でも、私の親より上の世代の人は、沖縄出身というのが「恥ずかしい」という認識が強い人も多い。実際に差別も受けていたらしい。

あの具志堅用高も、沖縄出身を理由にアパートを借りられなかったとか。


見た目が「沖縄っぽい」というのは、私にとっては褒め言葉に聞こえるけど、上の世代の人は「恥ずかしい」と卑下する人もいる。(ちなみに、私は沖縄出身だと言っても「沖縄っぽくない」と言われるので、そのたびに「悲しくなるのだけれど笑)

私が県外に住み出した頃は、安室ちゃんが全国的にアムラーブームを巻き起こした後だったし、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』ブームもあって、沖縄出身というと、「うらやましい!」とまで言われるくらいだった。

おかげで、安室ちゃんと国仲涼子さんには感謝。



差別はそう簡単になくならない。

程度の差こそあれ、差別は身近にも起こりうる。

私自身も無意識のうちに差別をしているのかもしれない。


でも、誰かを傷つけるような言動はしたくないな。

リアのように、自分が誰かを差別していることすら気づかない人間にはなりたくないな。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?