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Mr.前年同条件に気を付けろ(火災保険・保険金額編)

 多くの損害保険は1年更新です。
皆様の損害保険の更新の時期に代理店から、こんな電話が掛かってきたことありませんか?「前年同条件で更新しても良いですか?」
ちょっと待ってください。
「前年同条件」って、どんな条件?
 
損害保険は、万が一の事態に備えて、広くお金を集めて事故が起きた人に保険金を支払う仕組みです。
 
当然、契約条件によって支払われる保険金は違います。
 
満期更新時期に、本当にこの条件で良いかどうか損害保険の募集人から説明を受けて契約する必要があります。
 
また、損害保険の募集人も保険業法により「情報提供義務」がありますから、契約者にわかりやすく補償の内容について説明する義務があります。
 
以前、大手メーカーの2次下請の工場の火災保険を見積もらせて頂く機会がありました。その会社は売上高は数百億、国内に数十か所の工場を持っています。
 
私たちにとっては、とても大きな取引先になるので、身が引き締まる思いで取組みました。
 
その会社は子会社に保険代理店を持っており、その保険代理店の取引損害保険会社は、誰もが知る大手損害保険会社でした。私たちが火災保険を見積もる前は、当然のごとく、子会社の代理店で契約していました。
 
そこで、最初に見積もりを作成するために現在加入の火災保険の証券を見せて頂きました。
すると、おかしなことに、常識で考えて、その会社の工場の数から推察しても、あまりにも保険金額が少ないことがわかりました。
 
私たちは一から正しい保険金額を出すために固定資産台帳の提出を求めて、正しい保険金額を導き出しました。
 
驚愕なのは、ここからです。正しい保険金額と現在加入の火災保険の保険金額に10倍もの差があったのです。即ち、実際に罹災があった時に何の役にも立たない火災保険に何年も加入していたのです。
 
しかも、代理店は子会社で、親会社の内容を理解しているはずで、その代理店には直接大手損害保険会社の担当者がついていたにも関わらずです。
 
これが、「Mr.前年同条件」の罠です。
 
企業は、生き物です。設備の新設や廃止は常に行われて保険金額は常に変化するのです。
 
現在加入の火災保険の保険金額が正しい時期があったかも知れません。
しかし、「Mr.前年同条件」の罠にはまると、瞬く間に正しい保険金額との差が10倍になるのです。
 
企業経営者の皆様、また、総務担当で保険契約に関わる方で、財産の保険を加入する時に固定資産台帳の提出を求めない損害保険募集人がいたら、それは、「Mr.前年同条件」の可能性が高いです。
 
「Mr.前年同条件」に気を付けて下さい。

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