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スポーツ団体が加入すべき損害保険

競技別や市町村単位、様々なスポーツ団体が存在しています。また公益社団法人や一般社団法人等の法人格を持っているスポーツ団体と法人化されていないスポーツ団体があります。これらのスポーツ団体が主催する事業で選手や大会役員、観客が大けがした場合にどのような責任があり、これを補償する損害保険はあるのでしょうか?
 
有名な事件があります。
ある市のスポーツ協会が主催するサッカーの試合で落雷により大会に出場していた高校一年生の選手が視力を失い、下半身不随になり高度の脳障害を負ってしまいました。
大会当日は暗雲立ち込め豪雨が降り、雷鳴も聞こえていた状態であり、大会を中止すべき状況でした。しかし主催者は大会を中止せずに落雷による事故が起こりました。
 
この事件は裁判になり、落雷の「予見可能性」が主催者側にあるかどうかで争われ、最終的に主催者側の責任が認められて数億円の賠償が命じられました。

しかしながら、そのスポーツ協会は賠償金を支払う資力も無く解散してしまい、スポーツ協会を管理監督する立場の市に賠償義務が発生しました。

スポーツ団体は財政余力も少なく善意のボランティアで運営している側面が強いのに、責任ばかり押し付けられて、このような判決に反発を覚える人もいるかもしれません。しかし大会を主催して運営していくには選手をはじめ大会関係者に対して「安全配慮」が義務付けされるのです。

事故は、もちろん発生しないように努めるのはあたりまえですが、万が一事故が発生した時に金銭的に解決する事が出来るのが損害保険の役割です。

スポーツと言えば傷害保険を思い浮かべる人が多いと思いますが、傷害保険は個人がケガをした時の入院日額いくらや通院日額いくらと支払うもので、代表的なのは「スポーツ安全保険」です。「スポーツ安全保険」は、個人の傷害に対して保険金を支払うものであり、スポーツ団体の賠償責任を補償するものではありません。スポーツ団体が真に加入すべき損害保険は「施設賠償責任保険」です。「施設賠償責任保険」はスポーツ団体が主催する事業で法律上の賠償責任が発生した場合の損害賠償金を支払う保険です。保険金額は対人賠償3億円は必要だと思います。競技の種類や活動日数によって保険料は変わります。

スポーツ団体を主催する関係者様は、善意で行っている行為でも責任は発生するので、今すぐにでも「施設賠償責任保険」の加入の有無を確認する必要があると考えます。

 

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