モノローグでモノクロームな世界

第九部 第二章
三、
 真飛の話が中断するのを見計らったように、飲み物のおかわりを持ってきてくれた女性が再び部屋の奥へと姿を消すまでの間、部屋は静寂に包まれた。
ケイは、消えていく後ろ姿を見守りながら、ずっと気になっていたことを、真飛に尋ねた。
「あの女性、リトリにそっくりですね。彼女もやはり、機械なんですか?」
「あぁ、あれもまた、私が創りだした機械だ。もっとも、ポッドで君が会ったリトリ程に精巧には造られていないがね。君は、リトリとポッドで会って、どう感じた?」
「とても機械には見えませんでした。きっと、彼女が自分の事を説明してくれなければ、僕は最後まで知らなかったと思います。」
「そうか。あれは、私の最高傑作と言える。だが、あれには、致命的な欠陥があるのもまた事実だ。」
「欠陥ですか?僕には、全然わからなかったけれど。」
「私が彼女達を創り出した理由。君はわかるか?」
「えぇと、ワームを貴方の代わりとして導くため、ですか?」
「いいや、違う。結果として、今そうなっているだけだ。
 ミハラ君、私が彼女をこの世界に造りだした理由はただ一つだけだ。
それはね、彼女に私を殺させるためだ。」


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