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次の世代にバトンをつなぐ

『実習が嫌だから、もう行きたくない。』

歯科衛生士養成校の教員をしていた時、幾度となく聞いた言葉。1人、2人では無かった。
涙を流しながら、時には目を合わせずに俯いたまま、そして時には真っ直ぐこちらを見つめて怒ったような表情をしながら。

臨床実習という実際の病院、施設にいって実習学習をする期間。日中は実習をして、その日学んだことをレポートで提出してを数ヶ月間繰り返す。歯科衛生士だけではなく、医療職では全ての職種にあるのではないかと思います。

彼女達の言う『嫌だから』には沢山の意味が含まれているようで、そこには怒られる事への恐怖だけでなく、よくわからないのに聞くことの出来ない雰囲気や、何となく邪魔者のように扱われている事や、挨拶をしても無視をされるなど…
歯科界だけではなく、看護業界や、その他リハビリなどの医療職でも実習生はそのような思いを抱えているとききます。
また、話は少し逸れますが新卒歯科衛生士が就職後2年以内での離職率は約35%と言われています。これが多いのか少ないのか?
もちろん実習生や新人を暖かく受け入れ、忙しい診療の中で育てて頂いてる病院も沢山ありますし、全く環境変化が気にならない学生もおりますので全てではありません。またお互い人間ですから、単純に好き嫌いもあるなと感じます。

彼女達と同じように臨床実習を20年ほど前に経験している者としては、実習生への指導は、かなり優しくなっている様に感じます。
時代もありますよね。パワハラ、セクハラ、アカハラ…とハラスメントが問題になっていますし、それこそ心が折れやすい子も多いというのが世論ではないでしょうか。

医療職での、昭和のままの『見て覚えろ』が若い芽をつぶす可能性がある。そしてそれが、将来の自分達をつぶす事になりかねないですよね。そしてまた、過去は良くも悪くも誇張されて記憶されるものですから、『私達が学生の頃は...』この言葉にどこまで信憑性があるのかも怪しいものかと思います。

今の若い子達は、幼少期から『見て覚えろ』をすることなく成長し、社会に出て急に言われてもそのベースが出来ていないと辛いですよね。生きてきた時代が違えば、持っている価値観が違って当たり前ではないかと私は考えます。

教え方をアップデートして、指導者側に回るようになった側も専門的な事以外も勉強していく事が、この変化の多い時代に必要なのではないでしょうか。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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