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トンネルを抜ける / Day24 ダチョウ倶楽部方式

   10月なのに夏のような天気。冬が来なくてもいいとか、少し思ってしまう。どうでも良い話だが、わくさんのFacebookには、ほぼ毎週末ごとにどこかに(とは言っても大抵都内だけれど)行っている楽しい様子がアップされている。

   付き合い始めの頃、彼は、私にまるで「予防線を張る」かの如く、いくつか条件を提示していた。「僕、あんまり彼女と週末とか一緒に出かけないんですよね→つまり自由でいたい」「旅行とかも一緒に行かないんですよね」「束縛されるの嫌なんですよね」とか。私はその当時、仕事が忙しすぎて、むしろそんな時間を共有することもできなかったし、元々「人の行動を詮索する」と言う頭がない女で、さらに言うと「自分も自由でいたい故に、詮索されたくない」と言う性格故に、彼が提示したこれらのことを、嫌だとか思うよりかは「ふーん。わかりました」みたいな感じで捉えていた。

   最初の時点でそう言う始まりだったから、ずっとそうだと思っていたし「相手に無理強いしてまで"何かを一緒に行う"」って言う思いもなかった。だから我々は、月から金曜日までは、大抵一緒に暮らしたとしても、むしろ週末はあえてのイベントはそこまで入れてはなかった。自分が若い時代から読み込んだ、ある心理学の本にも「その人のままの状態を愛すること。それが愛というもの」という言葉も、理にかなっていると思っているし、今でもそう思っている。

   だが、別れてから友達の一人に言われた。「わくさんはさ、歴代の彼女が、超束縛とかのタイプだったから、あなたにもそれを言ったんじゃない。でも、あなたは、彼女たちとは真反対で、ベースが「束縛しない。無理強いしない」人だから、あっさりそれを受け入れたわけだけど、それがわくさんにとってはむしろ寂しい感じにさせたのかもね」。

   それを聞いた時??って思った。男って、むしろ何?無理強いしてこっちがお願いして、それで「しょーがねーなー」みたいな感じで一緒に出かけたりするのが好きなのか?私がこの質問を、親友のあっこちゃんにぶつけた時、彼女はこれを「ダチョウ倶楽部方式」と名付けた。

  そう、「押すなよ押すなよ」って言われて、熱湯の水槽に落ちる上島。嫌だと言いながら本当はやりたい(笑)。ちなみに男側の意見として、男友達のタニガワにも言われた。「男はね、嫌だ嫌だとか思いながらも女に命令されたりとかするのが嬉しかったり、めんどくさい生き物なんだよね」。そんなにみんなダチョウ倶楽部なの?

   わくさんはこの週末は、谷中に行って猫見たり、のんびりした時間を過ごしているらしい。私といるときは、近所の寺に猫がいると言っても見向きもしなかったのに(笑)。週末は、仕事の反動からか、競馬のテレビ見て、近所のコンビニ行くくらい引きこもってた人が、相手によってこんなに変化できるのか。でもそれもあり。きっと年下の彼女は「ちゃんと求める、命令する女」なんだと思う。私は人に求め過ぎない女なのだ。

   ってなった時に、原点に帰るようだが「恋人を持つ必要性」に若干クエスチョンマークが漂い始めてもいる。そういう時期もあるよね。きっと。





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