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「月と太陽、太陽と月」

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物語のような詩集です。詩かもしれないし物語かもしれないです。もしかしたらどちらでもないかもしれません。ひっそりと、ご自由に、お好きな様に。
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記事一覧

「長い夢」

悲しみは僕の中に。 愛はあなたとの間に。 だからいつも夢はあなたがいるのに 悲しい。 勝手に…

risa kuroda
1年前
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「ムクドリの子」

灼熱の日暮れに ぱちぱちぴちぴち、と 小さな鳴き声が窓の外から聞こえてくる。 熱射を避けて…

risa kuroda
1年前

「それは僕らの名前じゃない」

君は色んな名前をつけて 呼びたがる。 あるいは区切って 何かと便利にしたがる。 しるしをつけ…

risa kuroda
1年前

「大嵐」

ことばの矢 ことばの森 ことばの刃 ことばの城 守れるのだろうか まだ戦っているだけ 外…

risa kuroda
1年前

「重心」

自分の言葉がある それがちっぽけだと感じた時 私はとても小さな人間になっている 自分の心が …

risa kuroda
1年前
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「語られるのを嫌う彼らのはなし。」

ほんとうはね、 何も見たくない、 そんな夜だって、何度もある。 付着しすぎた感情の 最深部ま…

risa kuroda
1年前
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「アンテナ」

寝静まる 夜。 目を閉じる頃、 遠くの海に 大きなざわめきがやってくる。 ここへ到達する頃には、 その波紋は糸よりも細く 微かな寝息に 阻まれてしまう。 夢は深く。 明日は短く。 気が付かない方がいいのかもしれない。 そこでいつも通りにしていろ。 寝静まる 朝。 馬鹿みたいに大声で、 疲れた瞳に 大きなざわめきがやってくる。 ここがどこでもかまわず、 暢気な顔で笑い、 お金があるとかないとか、 想像を捨ててしまった、 化け物が、 刹那を駆ける、 もしかして、他所の人

「落日」

君はもう行ってしまった あの線の向こう側へ 瞼の裏にも 脳裏にも どこにもいない 君の背…

risa kuroda
1年前

「ひとりパレード」

ある日 足をなくした。 それは突然の 出来事のようで けれどどこかに繋がっていた。 真夜…

risa kuroda
1年前
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「beautiful people」

深夜の雨音 沢山はないツール 限られた時間 秒針が対等に刻んでいく 小さな欠片 まるで何にも…

risa kuroda
1年前
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「逃げる魔物」

ー身体が軋む。たましいが叫ぶ。無理な形は長い時間をかけて、異形へと形状を記憶してしまう。…

risa kuroda
1年前
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「風のない橋の上」

空中をわたる 高い高い橋 ここはとてもとても、ひとり 白い世界を ただ、ひとり 同じ目線の左…

risa kuroda
1年前
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「生物の隙間で」

部屋の柔らかい光が 目に毒で 両腕を翳してみる。 薄く並ぶ体毛が 白く 柔く光る。 どこ…

risa kuroda
1年前

「nakigoe」

透明な毒になった 僕のことばは 喉で詰まり 出口を無くした 心より先に 影が動き 手首を掴まれ ここから動けない 意味がなと 決めて 飲み込むにはもう あまりにも大きくなり 吐き出すにはもう 遅い 透明な毒になった 僕のことばは 僕の身体だけを 蝕む それは 誰かを傷つけるものかもしれない それは 無意味より無意味かもしれない 君には毒された僕は 何に見えるだろう 透明な毒になった 僕の瞳は 君の言葉を映さない 君は その瞳を破り 身体を引きずり出し 掌に触れ 僕の喉を引き裂