雑感④オレオレ詐欺?

こんにちは。
今回は下ネタです。苦手な方はスルーしてください。

若かりし頃、私は、オレオレ詐欺?の被害にあいました。

電話口の男は、息子や孫をかたったわけではなく、当時付き合っていた男のふりをした。というか私がそう勘違いした。

深夜に小さなアパートの電話が鳴る。
携帯もまだない時代。固定電話です。
寝ていた私は布団から出て電話を取る。

「もしもし」
「あ、りさちゃん?俺」
「かずくん?」
私は当時付き合っていた男の名を呼ぶ。
こんな時間にかけてくることなんてなかったけれど、まあ、付き合ってるし。

「うん、そう」
くぐもったような、なんか元気のない声。
「どうしたの?」
「ごめんね。こんな時間に。実はね、今日、病院に行ったんだ」
「病院?」

自分は病気になってしまって、このままだと男性としての機能を果たせなくなってしまうかもしれない。
今日、病院に行ったら、彼女とか本当に信頼できる人に話して、その人とテレフォンセックスをしてみなさいとお医者さんに言われた、と。


ここまで書いてて、自分で笑えてきます。
そんな話あるわけないじゃんって。
こんなのに引っかかるなんてバカじゃんって。

でもね、田舎から出てきて一人暮らししてる20歳そこそこの私は、ものの見事に引っかかったわけです。
寝ぼけてたとはいえ、バカです。
世間を知らなすぎる。

とまあ、その話を信じた私は言われるがまま、電話口からの指示に従います。
今何着てるの?
下着の色は?
から始まってまあ、いろいろ。
「俺とした中で、一番よかったのはどの時?」なんてのも聞かれた。

テレフォンセックスは初めてだったけど、興味もあったのかもしれない。
若かったし。

かずくんを助けなきゃ、とか、私を信頼して話してくれてるんだから、とかいうよりも、興味のほうが多分まさってた。

初めて付き合った男だったけど、今思えば、それほど好きでもなかった気もする。
何がよかったんだろう、くらいのもんで。

初めての男ってそんなもんなんですかね。
分かんないけど。

あ、でも世間には、初恋の相手と結婚した、みたいな人もいるわけだから、ちゃんと人を愛せるかっていうのは年齢とは関係ないのかもしれないですね。
若くてもちゃんと相手と向き合って真摯に愛せる人もいるだろうし、年を重ねても、本当に誰かを愛したことはないかもしれないっていう人もいるだろうし。

どっちがいい、わるいとかではなくて、人それぞれで。
でもそもそも、誰もが結婚適齢期に(この言葉も最近は前ほど聞かなくなったけど)愛する人と出会えるなんてわけがないと私自身は思っているのだけど、それはまた別の話で。

で何だっけ?
そう、オレオレ詐欺(笑)
電話越しに騙し取られたのは貞操(笑)

途中からは、なんかヘンだなっていう瞬間も確かにあったの。
でも最後までいってあとは「じゃあね」って向こうから電話を切った。

結局、あとから、騙されたって分かって、もう頭の中が真っ白っていうか、顔から火が出るっていうか、誰だったんだよっていう気持ち悪さと共に。

でも似たような被害に、友達もあってた。
多分、サークルの名簿とかが出回ってたんだと思う。
個人情報、なんて言葉もまだないような時代。
一人暮らしの女の子の住所と電話番号まで名簿に載せて配る、それに何も違和感が持たれなかった時代。
一見平和で、牧歌的なようでいて、でも、わるいことを考える人間はいつの時代にも、一定数は必ず存在して。

イタズラ電話はその後もたまにあった。
別の人間からだろうけど。
下着の色は?なんてのはまだかわいいほうで、いきなりヘンな声を聞かせてくるようなのもあって、そんな時はすぐに切った。

その頃友達と話してたのは、誰から掛かってきたのか、相手の番号が分かる電話があるといいよねってこと。
技術的にはそんなに難しくないはずだよねって。
そうすればイタズラ電話なんかなくなるのにって。

その後すぐくらいにナンバーディスプレイの電話機が出てきた。

ナンバーディスプレイもなかった頃のお話。


これは下世話な話だけれど、もしかしたら、今の便利は、全部、昔の誰かの不便さとか悔しさとか涙の上に成り立ってるのかもしれなくて。
固い話で言えば、女性の選挙権とか社会進出とかもそうで。

だから、今感じてる不便や悔しさや涙は、もしかしたら未来の誰かの役に立つのかもしれない、とも思ったりする。

今の不便や悔しさや涙を今すぐ何とかしてしてほしいのはもちろんだけど、でも、人間はそうやって少しずつ少しずつ、より良く、まともになろうとしてるんじゃないかなって。だから、たとえ表面的にはどう見えたとしても、世界は良くなっていくんだろうなって、そう信じたいと思う。



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