アイコン写真のこと②
私のLINEアイコンは、犬の写真。
可愛いワンちゃんだけど、私の犬ではない。何ていう名前なのかも知らない。
ただひとつ分かるのは、海の向こうの、とある街角にいたワンちゃん、ということだけ。
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noteアイコンと同じように、LINEアイコンの写真もまた、フォローさせてもらっている方にお願いして使わせてもらっているもの。
その彼が見出し画像に使っていたワンちゃんがあまりに可愛かったから、お願いした。
ご迷惑でなければ使わせてください、って。
厚かましくも、でも恐る恐る。
全然迷惑なんかじゃないですよ!使ってください!ってお返事をくれて、何なら元データも送りますよとまで言ってくれて、私はありがたかったのだけれど、その彼が以前、上司や同僚とか、微妙な関係の相手とのやり取りには「!」マークを多様してしまう、とか書いていたから、私には、彼の心の内が手に取るように分かって、「!」がいっぱいのお返事を見て、だから私は一人、おかしかった。
彼の記事は、なぜか、私の気持ちだったり、私が言葉にしたものとよくシンクロした。
だから、彼が恐らく何気なく書いたことやつぶやきが、弱っていた私の心に突き刺さって、号泣したことも、実は、ある。
私にとっては、そんな、アカウントで、もっと言ってしまえば、その彼の綴る文章は、使う言葉は、昔付き合っていた男と似ているのだった。
お互いに若くって、お互いに自分の将来さえも見えないから、ぶつかって、傷付け合ってばっかりだったのかもしれなくて、でもずーっとずーっと、もらった手紙の束を私は捨てられずにいた、そんな男に。
だから、私は見ず知らずのその彼を、応援したいのかもしれなかった。
既存のレールに乗っかることをよしとしないで、不器用に、愚直に自分自身と向き合って、悩みながらも、大きな夢を追いかけていた、その男を思い出すから。
暑い夏の日、二人で海に行った時、私たちが聴いていたのは中村一義の「金字塔」というアルバムだった。
「ああ、全てが人並みにうまくいきますように」
「愛が全ての人たちに降り注ぎますように」
「この幼稚な気持ちが永遠でありますように」
そんな歌詞の曲を聴きながら、私たちは二人の未来を思い描いていたのかいなかったのか、今はもう思い出せない。
遠過ぎて。昔過ぎて。
でも、今は、その男の幸せを、何の混じり気もなく、願える私でいる。
そして、ワンちゃんの写真を使わせてくれた、彼の幸せも、また同じように。
私はこれからも幼稚なまま、誰かの幸せを願い続ける、のかもしれなかった。
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