小高い山にある神社。
時々一人で行く場所。
いつものように歩きながら、これだ!という木を見つけてお話する。
高い木なので座って見上げる感じ。風が吹いて、枝や葉っぱがさわさわ揺れる。
見上げながら深呼吸する。と聞こえてくる。
『私はあなたを愛しています。生きとし生ける者を愛するという言い方はしません。あなたを愛しています。
あなたは私に会いに来てくれました。私はあなたを見ていました。あなたが手を合わせる姿を見ていました。あなたが何を願ってきたかも知っています。
あなたが今まで見てきたものを信じなさい。これからもっと見えるようになります。
怖れないでください。
ここにいる私たち、みんなあなたの味方です』
他の木や葉っぱなどもさわさわ揺れる。
先のほうの細い枝は揺れるけれど、幹は揺れない。
『あなたたちは幹になるのです』
私はふと彼の奥さんのことを思う。
彼の奥さんは幸せですか、と尋ねる。
『それはあなたの考えるべきことではありません。自分の幸せだけにフォーカスしてください』
私はこれからもこの町をお守りくださいと言う。
最後、木全体でバイバイと手を振ってくれた感じ。
お互いに既婚者。浮気、不倫。何もしてないといったところで世間一般からはそう見られるに違いなかった。
私で言えば、年下の男に狂っただけだって。
だから誰にも話せる訳がなかった。
でも私にはこんなにも心強い味方がいる、と分かって嬉しかった。
現実の世界では誰も味方はいないかもしれないけど、目に見えない世界には私の、私たちの愛への味方がたくさんいてくれた。
お花や木や石に始まり、そうしてこれからさらに出会っていくいろんな存在の数々。
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