お花

青い色に惹かれて買ったお花。
デルフィニウムと教えてもらう。

「よろしくおねがいします」と挨拶するが、じーっとしてる、静か。
無になろう、頭を空っぽにしようと呼吸する、ただ見る。
小さいつぼみが目に入る。
「つぼみですね」と言うと
『時が来れば咲くのです』と返してくれた。
そこからどんどん会話ができた。

「時を待てないことも多いです」と私。
『人間はそうですね。私たちは、咲いて、しおれて、枯れる、ただそれだけです。そのどこにも悲しいとかかわいそうとかありません』
「全て受け入れる、ということですか?」
『そうですね』

花の中に雌しべ?小さいのがたくさんある。
『これひとつひとつが命です』
そんなふうにお花を見たことがなかったと気付く。
じっと見ると小さな葉っぱの一枚一枚の動き、流れ方がとても美しく見える。
と、その瞬間、風もないのに葉っぱの一部がぴょんと動く。
お返事してくれたみたい。

「これからもまたいろいろ教えて下さいますか?」
『いつでも。あなたが心を開いてくれさえすれば』
「ありがとうございます」
『でもあなたは本当はもう全部知っていますよ』
「え?」
『あなたも咲きますよ。だから今は水をいっぱい吸って、あったかい光をたくさん浴びてください』
私は少し泣く。
落ち着いてから「ありがとうございました。またよろしくおねがいします」と言うと、ひとつひとつのお花たちが『またね』『またね』と言ってくれる。

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