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【ゆうちゃんのパンケーキ】童話を書いてみた

6月4日26時30分から超!A&G+で放送される「能登麻美子おはなしNOTE」の朗読で、私が書いたお話を読んでもらいました。(作品はこのページの後半に載せています)

「能登麻美子おはなしNOTE」は、私が担当しているラジオ番組で、声優の能登麻美子さんが毎回素敵な朗読をお送りしています。

私が書いたのは「ゆうちゃんのパンケーキ」というお話です。ゆうちゃんという女の子がパンケーキを作るために、その材料をいろんなところに集めに行くのですが、もらいに行く先がみんな動物・・・という少し不思議なおはなし。

BGMは毎年「能登麻美子おはなしNOTE」の公開録音イベントでBGMを演奏してくださるピアニストの土井あかねさんが、能登さんの朗読を聞いて、弾いてくださいました。

イベントは本来でしたら5月23日に開催予定でしたが、昨今の状況を鑑みて延期となっています。なので、この時期にスペシャルな回をお送りできればと思い、BGMの演奏をお願いしました。

放送の中では、どうしてこのお話を書いたかなど、少しだけお話させていただきました。

また、このお話は著作権フリーでここに掲載させていただきます。お子さんのいるお家や幼稚園などで自由に読んでいただいて構いませんし、動画で読み聞かせしていただいても大丈夫です。

ただし、YouTubeなどの誰でも見られる動画コンテンツで公開される場合は、ご一報いただけますと幸いです。


ゆうちゃんのパンケーキ    作:Suzuki Risa

ある朝、ゆうちゃんはパンケーキが食べたくなりました。

お母さんに「パンケーキが食べたい」と言うと、おつかいを頼まれました。

「この地図とメモを持って、パンケーキに必要なものを買ってきてね」

お母さんに言われた通り、ゆうちゃんは地図に書いてある場所まで一生懸命歩いて行きました。

まず着いたのは、牛さんの牧場でした。

「牛さんこんにちは」

「ゆうちゃんこんにちは。今日はどうしたの?」

「パンケーキに必要な牛乳が欲しいの」

「あら、そしたら私のお乳を持っておいき」

牛さんはしぼりたての牛乳をくれました。

「ありがとう牛さん。真っ白で美味しそうね」

「パンケーキを食べるなら、これも持っておいき」

牛さんは白くて四角いかたまりをくれました。

「これは?」

「バターよ。パンケーキの上に乗せるととっても美味しいのよ」

「わぁ!楽しみ!」

ゆうちゃんは牛乳とバターを大事にバスケットにしまって、

牛さんに大きく手を振ってお礼を言いました。

「牛さんありがとう!これで美味しいパンケーキが作れるわ」

次にゆうちゃんはニワトリさんの元へやってきました。

「コケコッコ〜!ゆうちゃんが来たわ!」

「ゆうちゃんこんにちは!」

「こんにちは。あのね、パンケーキを作るのに卵が欲しいの」

ゆうちゃんはニワトリさんたちに卵をお願いしました。

「ちょうど生みたての美味しい卵があるわよ」

ニワトリさんがくちばしで足元を指すと、そこにはつるんとした卵がありました。

「わぁ!白くてつやつやの卵ね。これ、もらってもいいの?」

「どうぞ。美味しいパンケーキができるといいわね」

ゆうちゃんはそーっと卵を拾い上げてバスケットに入れました。

「割れないように気をつけなきゃ。ニワトリさん、ありがとう」

ゆうちゃんは卵が割れないように気をつけながら次の場所へ向かいました。

次に訪れたのは、クマさんがやっている小麦畑でした。

「クマさんこんにちは。小麦粉をくださいな」

「あら、ゆうちゃんいらっしゃい。小麦粉でお菓子でも作るのかな?」

「パンケーキを作るの!」

「だったらこの挽きたての小麦粉をどうぞ」

クマさんは真っ白な小麦粉を麻袋にたっぷりと入れてくれました。

「ちょっと重いかな?」

「大丈夫よ!ゆうちゃんこれくらい持てるわ」

ゆうちゃんは重い麻袋を一生懸命抱きかかえました。

そして、クマさんにお礼をして帰ろうとしたところ・・・

「あ、そうだ。パンケーキを作るなら、あれが必要ね。いらっしゃい」

クマさんはゆうちゃんを手招きして小屋の裏手へ連れて行きました。

「クマさんどこへ行くの?」

「ここよ」

クマさんが連れてきてくれたのは、ハチさんがたくさん飛んでいる花畑でした。

ブンブンブン。たくさんのハチさんが花の蜜を集めています。

「ハチさんは何をしているの?」

ゆうちゃんはこんなにたくさんのハチさんを見たのは初めてでした。

ハチさんのお尻には針がついていてちょっぴり怖かったゆうちゃんは、クマさんの後ろに隠れてしまいました。

「ゆうちゃん、大丈夫よ。ハチさんは花の蜜を集めているのよ」

クマさんはそっとゆうちゃんの手を引いて花畑の方に歩いていきました。

「ハチさん、ちょっといいかしら」

「あら、クマさん。ごきげんよう」

「ごきげんよう。お仕事中にごめんなさい。はちみつを少し分けて頂けないかしら?」

「あら、いいですよ。ちょうど出来立てのはちみつがありますよ。こっちです」

ハチさんはクマさんとゆうちゃんをハチの巣の方へ案内してくれました。

「ここのはちみつは甘くてとっても美味しいの。ハチさんもイタズラをしなければ刺さないから大丈夫よ」

クマさんはゆうちゃんに優しく教えてくれました。

「さぁ、ここです」

「わぁ、蜜がいっぱい!」

ゆうちゃんははちみつがたっぷりの巣を見て驚きました。

「ちょっと待っててくださいね。女王さまにどのくらい分けていいか聞いてきますから」

ハチさんはブンブンと女王蜂の元へ飛んで行きました。

ゆうちゃんは目の前でキラキラ光る蜜をじっと眺めていました。

じっと見ていると、巣穴の一つから美味しそうな蜜が垂れてきました。

ゆうちゃんは思わず巣に手を触れてしまいました。その瞬間・・・

チクっ

ゆうちゃんの手に痛みが走りました。

なんと、巣穴にいたハチさんの一匹が、驚いてゆうちゃんの指を刺してしまったのです。

「まぁ、ゆうちゃん!真っ白よ!」

クマさんが言った通り、ゆうちゃんは真っ白になっていました。

ハチさんに刺されて驚いた拍子に持っていたバスケットと麻袋を投げてしまい、小麦粉と牛乳をかぶってしまったのです。

バスケットの中を見ると、卵も割れてしまっていました。

それを見て、ゆうちゃんはポロポロと泣き始めました。

せっかく牛さんがくれた牛乳が、ニワトリさんが生んでくれた卵が、クマさんが作った小麦粉が・・・お母さんと作るはずのパンケーキが・・・

「あらあらゆうちゃん、泣かないで」

クマさんはゆうちゃんを抱きしめて頭を優しく撫でてくれました。

目をさますと、ゆうちゃんはベッドの上でお母さんに抱っこされていました。

「ゆうちゃん、おはよう」

目の前にはクマさんの模様のエプロンをしたお母さんの優しい笑顔がありました。

「パンケーキは?」

「え?」

お母さんは一瞬びっくりした顔をしましたが、ニッコリ笑って「正解!」と言いました。

「今日の朝ごはんはパンケーキです」

キッチンを見ると、牛乳と卵と小麦粉が置いてありました。

「一緒に作って食べましょう。さ、顔を洗ってきて」

ゆうちゃんは嬉しくなって、急いで顔を洗って、エプロンをつけてキッチンにきました。

ゆうちゃんはお母さんに手伝ってもらいながら、小麦粉と牛乳と卵を混ぜて、フライパンで大きなパンケーキを焼きました。

「パンケーキができるのは、牛さんやニワトリさんのおかげね」

「そうね」

「それからクマさん」

「え?クマさん?」

お母さんは不思議な顔をしながら、パンケーキの上に乗せるバターを四角く切りました。

ゆうちゃんは得意げに笑って続けました。

「はちみつもつけると美味しいのよ。はちみつはハチさんが一生懸命集めてくれたの」

「あら。ゆうちゃん物知りね」

お母さんはお皿に乗せたパンケーキの上にバターを乗せて、その上からはちみつをたっぷりかけてくれました。

「いただきます!!」

いつもより大きな声で言うと、ゆうちゃんはパンケーキを大きな口で頬張りました。

*おしまい*


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