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映画 『クラッシュ Crash』

Los Angelesの話。

この映画が最初に公開されたのは2004年。私がアメリカに留学したのが2007年〜なので、わりと近い時期のお話である。

この物語には たくさんの登場人物がおり、その誰もが 人種問題に直面している。

留学中に私がとても頻繁に感じたことは アメリカに住む人々は 差別に敏感なだけではなく 差別になりうること、差別と思われるかもしれないことに対しても 非常に敏感だということである。
それは この映画の中でも顕著で、例えば「黒人からの支持を受けるために 黒人を昇進させるべきだ」という考え方が出てきたりする。我々日本人からすると 支持を得ることというのは そんなに単純なものではなさそうに思ってしまうが「白人は 昇進させているのに 黒人は昇進させないなんて人種差別だ」という意見が本当に出てきたりするのだ。

我々アジア人に対してはどうかというと 我々に対しても もちろん差別や差別になりうることはある。

この映画の中では 韓国人男性に対して「China man」という言葉が使われている。本来「China man」とは 中国人を指す英語だったが 現在は アジア系全般を指す蔑称となっている。なので どうやらこれは差別らしい。
私の友人は 街中で出身地を聞かれた。それだけなら よくある話だが、その時は「君がどこの国出身なのか 仲間と賭けてたんだ」と言われたという。正直、私には これがアジア人への差別的発言なのかというと あまりピンとこないのだが、アメリカではどうやらこれも差別らしい。賭け事に使われているので 仕方ない。
差別とは違うかもしれないが、私自身が 外国人であり アジア人であり 日本人であることによって感じたことというと、日本人女性が 異常にモテるということだ。それこそ 街中を歩いていて口笛を吹かれない日はないし、話しかけられない日もない。電話番号を聞かれたときの 一番良い断り方は「結婚している」と言うこと。それぐらい しぶとく口説かれる。それが日本人女性。これは 差別というより 特権だと感じる人がいるかもしれない。なぜなら 日本人女性がモテる理由として「日本人の客室乗務員のおもてなしが素晴らしいからだ」とか「日本人女性は男性を立てるイメージがあるからだ」なんてポジティブな理由が考えられているからだ。しかし、実際はそれだけが理由ではない。実は 日本が海外に誇れるソフトは ゲームやアニメだけではない。日本のポルノから生まれた言葉が英語になっているくらい 日本のポルノは海外で売れているのである。すなわち、日本のポルノで日本人女性のイメージが作られているということだ。実際 私も、「日本人は 電車の中でもするんでしょ?」と本気で聞かれたことがある。ポルノだけではなく、「BABEL」という映画を見た友人からも「日本人は 見ず知らずの人に スカートの中を見せたりするのか?」と これまた本気で聞かれたことがある。どうやら「日本人女性」=「YELLOW CAB」=「黄色いタクシー」=「呼べばすぐ乗れる黄色人種」というイメージが存在しているらしい。日本人女性がモテることは間違いないが 調子に乗ると怖い目に遭う可能性もゼロではないということは忘れてはいけない。(まぁそれは どこの国にいても、日本人じゃなくても同じだと思うが)

今回は映画の話をほとんどしていないが、日本人が思っている以上に アメリカの人種問題は根深いということを書いてみようと思った。

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