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《ミレニアムの翼》トリビア。

《ミレニアムの翼 320階の守護者と三人の家出人》はスチームパンク・ファンタジーです。主人公は《リンデン塔》の320階でよろず屋を営むサイラス・ハーフナイト。31歳。最愛の妻を亡くして七年、生きる意欲を失っていた彼の元に訳ありの若者三人が次々転がり込んだことから穏やかだった生活は一変。手のかかる三人の面倒を見つつ、事件や陰謀や国家存亡の危機に巻き込まれ……もとい、立ち向かっていくのです。

イラストはTHORES柴本先生!

季刊小説ウィングス連載初回時の扉絵

画像1装画 THORES柴本



《ミレニアムの翼》の世界観

産業革命後、1000階に及ぶ塔が林立し、人々が《塔》と《田園》に分かれて住むようになった架空ヴィクトリアン的世界が舞台。19世紀的風俗を背景とするスチームパンクですが、この世界にはいくつかの突出した技術があります。重力制御、機械式思考演算装置など。それらの技術は永世特許により《発明卿》と呼ばれる5つのファミリーに独占されています。


トリビア。

「アングリア王国」の「アングリア」はイギリスのイースト・アングリア地方が語源。

「リンデン塔」の「リンデン」はロンドンの古い呼び名。リンデン塔はかつてロンドンがあった場所に立っています。

『塔』の大きさは3000〜4000メートル級の山くらいです。

アングリアで一番大きな塔はリンデン塔、二番目がミドロジアン塔です。

リンデン塔の1000階には女王の住まいである王宮があります。王宮は無数の硝子で出来た巨大なドームに覆われています。硝子のプリズムが無数の小さな虹を作ることから『虹の王宮』と呼ばれます。

この世界は蒸気力が主な動力源として使っていますが、いくつかの突出した発明によってわたしたちの世界よりも進んだ技術もあります。重力制御技術がその一つです。

重力制御技術は実用化していますが、大変に高価なものなので一般庶民には縁がありません。

『塔』そのものにも重力制御技術が使われています。

『塔』の中はとても広いので、水平移動には蒸気自動車やトラムを使います。マシンホースに曳かせる馬車もありましたが、最近は流行遅れになっています。

『塔』の内部で垂直に移動するには『エレベーター』『エスカレーター』を使います。どちらも有料です。移動距離による課金制と距離に関係のない期間パス制のチケットがあります。

脚が丈夫なら、『階段』を使って上下移動することも出来ます。これは無料です。

『塔』の中ではさまざまな機械が使われています。機械の動物や人間と同じ動きができる機械人形もあります。これらの機械人形は「オートマタ」と呼ばれます。

『塔』の外の移動には鉄道と航空路があります。直行の特急列車は『塔間特急』と呼ばれます。

『塔』には100階ごとに航空機と飛行船のための発着場が設けられています。

『塔』の居住区には連絡のための管が張り巡らされ、それぞれの部屋に筒に入れた手紙を直接送ることが出来ます。その管は『送書管』と呼ばれ、空気圧によって手紙の入った筒を送ります。気送管のようなものです。

放送は音声の他に映像を送ることもできます。『ニュース・ボウル』と呼ばれる珠のような形の映像装置が普及しています。

電話は存在しますが、各家庭にあるわけではありません。公共施設、店舗、事務所などには電話が引かれています。

『発明卿』は『五卿』とも呼ばれ、代々世襲されまます。

『塔』の外の世界は『田園』です。一般人は『田園』に住むことは許されません。

『田園』は産業革命の汚染から甦った土地です。それを成し遂げたのは『発明卿』の先祖たちでした。

『田園』は世襲貴族によって荘園支配されています。

荘園で働く人々は『泥雲雀』と呼ばれ、これも世襲制です。『泥雲雀』の生活は単調ですが、『塔』の人々は田園での暮らしに憧れます。『塔』から『田園』への移住は審査があり、難しいからです。

『田園』から『塔』への移住には制限はありません。


これらの他に、もう一つ突出した技術が存在します。それは五卿の特許ではない技術で、二巻から登場します。ですが物語の大枠に関わるのでここでは明かしません。ヒントはジュール・ヴェルヌではなくH.G.ウェルズへのオマージュ、ということです。


キャラクター

サイラス・ハーフナイト
 320階に住むよろず屋。31歳、やもめの大男。妻を亡くしてから失意の日々を送っていた。

ジョニー・シクスペンス
 コケティッシュな美青年。身なりがよく、機械に精通しているため科学貴族らしい。感情豊か、繊細でナイーブ。お洒落好きで女装好き。

ラモーナ・オブ・アングリア
 アングリア王国の王位継承者にして女王の名代。16歳。感情の起伏が乏しく、無口、無表情。いろいろズレている。

ナッシュ・ホイッスラー
《塔》に憧れて《田園》から出てきた青年。全ての塔に徒歩で登る全塔登段に挑戦中。夢遊病(?)に悩むが能天気でどんなことにもポジティブ。

アシュレイ・ジャカード  当代《発明卿》のひとり。ジャカード卿

ハンナ・オブ・アングリア   アングリア王国女王。ラモーナの祖母。数カ月前から昏睡状態。

モールデン伯爵        ラモーナの亡き母の兄。

ウィルバー・モールデン    ラモーナの従兄弟

ロジアン公ダンカン殿下    女王の甥

オットー・ビリナム      アングリア王室侍従長。

ヒューイ           ロボット犬。サイラスの愛犬

アルフレッド         ジャカード家の機械執事



《ミレニアムの翼》は全3巻完結済みです。今のところ電子版はありませんが、文庫の在庫はあります。電子化が決まりましたらまたお知らせしますね。