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お金への執着 あの頃の友の笑顔を胸に

お金様が側にいない新しい世界へのイメージワーク。
うーん…現実的ではないものの、できる限りやってみるᕦ(ò_óˇ)ᕤ

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目の前にお金様がいる。
いつもの冷たい澄ました表情だ。
この表情から愛情をはかるのはとても難しい。
なんとも複雑な気持ち。
私は深呼吸する。
私は本当にこの人を求めていたのかしら…

お金様は我が家でとても大切にされていた。
ただそこにいるだけで尊い存在。
私はそこに嫉妬していたのかもしれない。

お金様を大切にする教育を施されてきた。
私の欲しいものは無視せざるおえなかった。
私の欲しいより、私のやりたいより、お金様が大切だった。
母に大切にされていた。
私は嫉妬していたんだ。

お金様を無理やり追い出したこともあった。
代わりに手に入れた着物。
いつか着る日はくるのだろうか。
八つ当たりしたところで虚しい思いだけが残った。

お金様との記憶がよみがえってくる。
お金様はいつも感情の見えない澄まし顔だった。

ふと目を落とすと、私の足からお金様の足へ、
太い鎖がつながっている。
いつしかお金様に執着し、私の身に繋ぎ止めてしまった。
そして私自身支配され、自由を失った。

顔をあげて、お金様の目を見る。
「今日、私はあなたを手放して
自由になります。」

もう一度大きく息を吸う。
「私と出会ってくれてありがとう。
あなたが私のお金様で本当によかった。
ずっと側にいてくれて、ありがとう。」

寂しい気持ち、不安な気持ち、私の心を渦巻いている。
お金様は戸惑った表情をしている。
ああ、お金様も無理をしていたんだ。

私は深呼吸し、一歩前に出る。
両手を広げ、お金様を優しく抱きしめる。
ああ、幼いときは小さなお金様の手を握りしめ一緒に駄菓子を買いに行った。
なにを買おうか真剣に悩んだ。
すごくワクワクしたんだ。

お金様も私と共に成長し、いつしかこんなに大きくなっていた。
そしてこんなに心が離れてしまっていた。
いつしか一緒にいるワクワク感を忘れてしまっていた。

私の腕の中のいつのまにか大きくなった、かつての友の耳にもう一度言葉を届ける。
「私と出会ってくれてありがとう。
あなたが私のお金様でよかった。
ずっと側にいてくれて、ありがとう。」

ゆっくりとお金様から離れる。
かつては友だったことを思い出してしまった。
そう、私たちは最初友人だったんだ。
離れがたい気持ちを振り払う。

再び足元に目を落とすと、鍵が落ちている。
鎖を解く鍵だ。
私は鍵を拾い、意を決して鍵穴に差し込んだ。
カチャ
軽い音と共に、鎖は呆気なく地面に落ちていった。

再びお金様に向き合い、目を見る。
「あなたはもう自由です。
どこにでも行くことができる。
ここに留まってもいいし、
どこかへ旅立ってもいい。
私はその選択を支持します。
あなたはもう自由です。」

お金様は少し困ったような表情をしている。
私のことを心配してくれているのだろうか。

私は大きく深呼吸し、一歩後ろにさがる。
少し、お金様を遠くに感じる。
寂しいような、ホッとしたような。
長く囚われていた実感がわく。

一歩、一歩、お金様から離れていく。
ああ、本当に私はお金様と離れるんだ。
一歩、一歩、ゆっくり離れ、もう一度お金様にハッキリと伝える。

「私と出会ってくれてありがとう!
あなたが私のお金様でよかった!
ずっと一緒にいてくれて、
私を守ってくれて、ありがとう!」

お金様はニッコリと微笑んだ。
少し涙を滲ませながら、それでも愛情深い
幼い友だった時の本来のお金様の笑顔だ。

私はお金様に背を向ける。
私は自立すると覚悟を決めたんだ。
もう振り返らないと決めたんだ。

背中越しに、お金様も背を向けた気配を感じる。
私はそのまま一歩前へと進む。
お金様の足音とともに気配が遠ざかる。
一歩、一歩、ゆっくりと離れていき、お金様の足音も遠く薄れていく。

私はお金様を手放した。
自由な世界へ向けて足を進めていく。
お金様も自由に羽ばたいていっただろう。
一歩、一歩、未来へ進む。

すると白い扉が見えてきた。
あの扉の向こうが私の目指す世界だ。
そこへ向けて私は歩みを進める。

目の前に迫った白い扉。
私はノブに手をかけ、ゆっくりと手前にひいた。
開いた扉を抜け、後ろ手に扉を閉める。

カチャ。
そうして、お金様といた世界は閉じられた。
目の前には新しい世界が広がっている。
お金様だけ、いない世界だ。

白く可能性に溢れた世界。
美しいほど何もない。
これから私が創り上げていく、ゼロの世界だ。
誰の価値観にも縛られない、私だけの世界。
自由と恐怖が入り混じっている。

閉じた扉に体を預け、目を閉じる。
私は深呼吸をし、もう一度目を開けた。
目の前には、私の家族、友人、大切な人たちが集まってくれている。
お金様だけがいない世界。

みんなが私を囲み、夫が私をギューっと抱きしめてくれる。

「よく頑張ったね。
全部見ていたよ。
素晴らしい決断だった。
だから忘れないで。
安心していいんだ。
あなたはひとりじゃない。」

代わる代わる、私を抱きしめ声をかけてくれる。
私はその言葉を、その腕を、全身で感じながら深呼吸する。
何度も何度も深呼吸を繰り返す。

ゆっくり目を開け、改めて新しい世界に目を向ける。
何もなくなんかない。
ここは私のための世界。
私の大事な人たちがいる。
私を大切に思う人たちがいる。
私が幸せになるための世界なんだ。
安心していい。心を開いていい。

私は深呼吸し、新しい世界の空気を確かめる。
うん、私はやっていける。
私が夢を追いかけられるようになったとき、笑顔のあなたにまた会えたら嬉しい。
私はひとりなんかじゃない、大丈夫。
夢の向こうで、またいつか。

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